64話 ページ15
「うん、わかった。寝台に寝かせてくれる?」
ペ神さんは落ち着いた様子で、ゾムさんに指示をした。
「わ、分かった」
ゾムさんはすぐさま従っていて、よほどコネシマさんが心配なのだと伝わってきた。
「ゾム、コネシマを連れてきてくれてありがとね」
ペ神さんに言われて、ゾムさんは少し安心したように頷いた。
きんとき様が何やら診察を終えて、険しい顔になる。…病気とかじゃ、ない、よね…?
不安になる私やゾムさん、スマイル様が固唾を飲んで見守る中、きんとき様は言った。
「多分、貧血ですね」
ひ、貧血…?
病気ではなかったとほっとすると同時に、まだ緊張が解けない。
なぜなら、まだきんとき様の顔が怖いから。ゾムさんからコネシマさんに目を向けたペ神さんも、みるみる顔色が変わって怒りが背中から溢れ出ている。
「コネシマ!コネシマ!」
耳元で呼びかけられて、
「……んぅ、…?」
薄らと目を開いたコネシマさん。
「……おれ…?」
目をゆっくり泳がせたあと、いつもより少し舌足らずな喋り方で、
「…ぁ、たおれた、のか…ぞむ、ごめんなぁ…」
「…はぁ、もうちょっと回復してから事情はきくよ。今は寝てて」
「…ん……」
またすぅっと眠りにつくコネシマさん。ゾムさんは心配しつつ、一旦は帰されていった。
きんとき様は額に手を当てて、
「この人、怪我隠してたみたい。脇腹におっきな切り傷。結構重症だよ、これ。自分で消毒とか包帯とかしたみたいだけど…元気になったら、なんで隠してたのかきかなきゃ」
なるほど。
「ま、寝てればある程度回復はすると思うし、起きるまでは待機かな」
ペ神さんがそう言ってテキパキと消毒器具や包帯などを持ってきて、手当していく。
手当が終わった後は、揺らさないように運ばれてぺいんとさんがいた隣のベッドに寝かされた。
コネシマさんも早く退院できるといいですねと言うと、スマイル様がそっと私の頬を撫でた。
『…?』
「A、今日も熱出るだろうけど頑張ってね」
それはもちろん、
『スマイル様が傍にいてくださるので、頑張れますよ』
思ったままに伝えれば、スマイル様はまた耳を赤くした。
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「スパイは紫に笑って欲しい 2」も、お星様が赤色になりました!皆様のおかげです、ありがとうございます!!
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らーて - 初コメ失礼します。こんな素敵な作品が読めて僕は幸せです!。続き楽しみにしています。更新頑張ってください。 (2022年8月10日 15時) (レス) id: 50b204a28c (このIDを非表示/違反報告)
涼夏人 - 失礼します。初コメです。この作品、神!神作!続き楽しみにしています。頑張ってください! (2022年8月8日 16時) (レス) @page31 id: 8404a67f98 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - おかえりなさい!!自分もめっちゃ低くてやばかったです!ゆっくり待ってます!頑張ってください (2022年6月29日 14時) (レス) @page7 id: d3fac2225a (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - おかえりなさい!!僕の方がテストやばかったので安心してください…☆ゆっくりで大丈夫なので!!更新待ってます!、 (2022年6月28日 22時) (レス) @page7 id: 511b9233eb (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - おかえりなさい!お話はゆっくりで良いのですのよ!おかえりなさい(о´∀`о) (2022年6月28日 19時) (レス) @page7 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らむね☆ | 作成日時:2022年6月12日 11時