８話 ページ8
部屋に入って、ベッドに身を投げる。
らしくないぞ、私。潜入先の幹部にこんなに情をかけて。
この関係は任務を終えるまでの短い期間だけの関係で、その先はもう会うこともない。
スマイル様がどうなろうと、関係がないのだ。
私情は捨てないといけない。
一人で悶々としていると、昼食の時間がやってきてしまった。
そうだ、伝言。
幹部用食堂につくと、美味しそうに食事をとっている幹部様たち。
『スマイル様のお食事を取りに来たのですが、きりやん様、』
「ん？俺？」
私にスマイル様用のトレーを渡そうとしたきりやん様が首を傾げる。
『スマイル様より、伝言です。"美味しかった、ありがとう"と』
「……！」
ゆっくりときりやん様の琥珀色の目が見開かれていき、みるみる涙が溢れ出た。
私は震えるきりやん様の手からトレーを受け取り、一度机に置く。
きりやん様はボロボロと泣きながら、床に膝をつく。両手で顔を覆って、嗚咽を漏らしている。
「…っぅ、スマ、イル…ちゃんと、俺の思い、届いたって、こと、なのかなぁ…」
「きりやん」
なかむ様がこちらへやって来て、優しくきりやん様を抱きしめた。
きりやん様はしばらく泣いた後、落ち着いてきてまた席に座った。
「俺ね、たまにだけど、食事作ってて。スマイルの好きなもの、作ってるんだよね」
なるほど。それがちゃんとスマイル様に伝わっていたことが嬉しかったんだ。だってスマイル様にはちゃんと、きりやん様が作った料理だって伝わっていたんだから。
…そして、やっぱりなかむ様は侮れない。
きりやん様を抱きしめたときのあの顔は、全てを見通している顔だった。リーダーらしい、責任と慈愛に満ちた顔。
α国の王とは違う、温かい国王。
『スマイル様に、何か伝言いたしましょうか』
「ぅん、お願い」
まだ少し涙声で、でもとびきりの笑顔で、きりやん様は言った。
「"こっちこそありがとう。ゆっくりでいい、いつでも待ってるから、またいつか一緒に食べような"って、伝えて！」
『承知いたしました！』
私も笑顔を返した。
__
『スマイル様、Aで__』
言っている途中で扉が開く。
『お待たせしてすいません』
トレーを机に置いて、スマイル様に微笑む。
『きりやん様からお返事です。"こっちこそありがとう。ゆっくりでいい、いつでも待ってるから、またいつか一緒に食べような"だそうです』
「…ありがとう」
スマイル様は薄らと微笑んだ。
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すみれいん(プロフ) - らむね☆さん» いえいえ！私も言っていいものか迷っておりまして…。もしあれならこの誤字のやり取り消してもらって大丈夫ですので！！ (6月7日 23時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
らむね☆(プロフ) - すみれいんさん» わわわ…ありがとうございます。たまに気付いてない誤字あるんですよね…！指摘凄く助かります！ (6月7日 21時) (レス) id: 5aa85bc4da (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - たまに読み返しに来てます。いつも読みふけって忘れてしまうのですが47話の大先生さんの件のお話のciが訂正するところ、こいつの名前っていう所がこいつほになってますよ(こそっと) (6月7日 15時) (レス) @page47 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
だいふく - smさんと夢主はよくっつけ〜！めっちゃラブラブカップルになる予感！これからも投稿頑張ったください！ (2023年1月5日 21時) (レス) @page50 id: 8b39de642b (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - 続きまってますﾜｸﾜｸ (2022年10月5日 17時) (レス) id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむね☆ | 作成日時：2022年5月19日 15時
