38話 ページ38
午後。また作戦の確認が行われた。私も専属メイドなので同席させてもらった。
……午前中皆様と訓練をしていて、思ったことがある。
私は、幹部様たちと同等の実力がある。しかも、今回の戦争が早まったのは私の責任。
ならば、役に立たないといけない。
「…、はい、じゃあ、これで最終確認は終わり__」
『なかむ様』
決心して声を出すと、不思議そうな顔を向けられた。
「何?」
『私を、戦場に行かせてください』
「…………っえ……」
なかむ様は困惑していて、私の隣ではスマイル様が息を呑んだ。
「…なに、いってるの」
スマイル様が呆然ときいてくる。
『こうなったのは私のせいです。ちゃんと、役に立って見せます。だから、行かせてください』
「や、やだ!なんで、Aのせいじゃないのに!」
狼狽えるスマイル様に、微笑んでみせる。
『大丈夫ですよ。少しくらい、戦えます』
「…だって…だって、」
スマイル様は今にも泣きそうな顔で、言った。
「もし、Aが死んじゃったら、俺、どうしたらいいの…」
………戦地に行く以上、誰でも、どんなに強い人でも。死を覚悟しなければいけない。
軽い気持ちで、生きて帰ってくるなんて約束できない。信じて待っていてなんて、言えない。
だから、もしものために。
『……私のことは、忘れてください。もう、スマイル様は私がいなくてもやっていけるんですから』
立ち直ったスマイル様なら、私なんていなくても大丈夫。
『だから、私とはここでさよならしましょう』
ここを居場所にするための戦いだった。でも、こう言うしかない。
これはここを守るための戦いで。私が戦うのは、私のためじゃない。
スマイル様を、皆様を、この国を、守るためだ。
どっちみち、ここに私がずっといるのは叶わなかったってこと。
…それだけのこと。
『明日の朝、シャークん様の部隊と一緒に、前線に行かせてください』
「そんなこと、できないよ…」
なかむ様は首を振った。
「危険すぎる」
『足手まといにはなりません』
「……だめ」
頑なに断るなかむ様。
そこからは、もう根気比べだった。
行く、行かせないの繰り返し。
やがて白旗をあげたのは____
「…分かった」
____________
〜コメント返信〜
○咲 様
コメントありがとうございます。本作のスマさんの可愛さがちゃんと出せていて、安心しました。これからも楽しみにしていてください!
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すみれいん(プロフ) - らむね☆さん» いえいえ!私も言っていいものか迷っておりまして…。もしあれならこの誤字のやり取り消してもらって大丈夫ですので!! (6月7日 23時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
らむね☆(プロフ) - すみれいんさん» わわわ…ありがとうございます。たまに気付いてない誤字あるんですよね…!指摘凄く助かります! (6月7日 21時) (レス) id: 5aa85bc4da (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - たまに読み返しに来てます。いつも読みふけって忘れてしまうのですが47話の大先生さんの件のお話のciが訂正するところ、こいつの名前っていう所がこいつほになってますよ(こそっと) (6月7日 15時) (レス) @page47 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
だいふく - smさんと夢主はよくっつけ〜!めっちゃラブラブカップルになる予感!これからも投稿頑張ったください! (2023年1月5日 21時) (レス) @page50 id: 8b39de642b (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - 続きまってますワクワク (2022年10月5日 17時) (レス) id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らむね☆ | 作成日時:2022年5月19日 15時