17話 ページ17
一人、密かにα国を裏切る決意をして部屋を出ると、スマイル様と鉢合わせた。
一人で食堂から帰ってこれたのか、これも成長！と一瞬喜んだけど、幹部の皆様といたがるに違いないスマイル様がわざわざ戻ってきたということは、私に急用があるのかもしれない。
『スマイル様、何か御用でしょうか？』
「……遅かったから…」
『…………遅かったから……？』
問い返すと、スマイル様は俯いたまま、もごもごと言う。
「遅かった、から、寂しく、なってきて」
………？？？
なにそれ急なデレですか。どうしちゃったんですか。
『すいません。これからはできる限りおそばにいますね』
「………ん」
相変わらず静かな返事をするその口元が、ほんの少しだけ、満足げに緩く弧を描いているのが見えた。
「…お、スマイル、A、おかえり〜！」
食堂に帰ると途端にかけられる声。
やっぱり、ここは温かい。
その温かい居場所を守るために、私は賭けに出る。
『なかむ様、α国に同盟を結ぼうと誘われていると風の噂で聞いたのですが』
「ん？あー、そうそう！今日の戦争で助けてくれて__」
『やめた方がいいです』
私の発言にぴしりと凍るなかむ様。
「……なんで？」
アクアマリンの瞳に、わずかに警戒の色が浮かんでいる。
『あそこの国王は…失礼ですが、小根が腐っています。裏切りは当たり前、利用できるものは利用し、要らなくなったら見限って捨てます』
たくさんの人を、見てきた。あの国王に仕えていたのに裏切られて、無残な死に方をしていく人たちを。
家族、友達、先輩に後輩。
私もまた、その国王に仕えて罪を重ねてきた。
逃げる事は出来なかった。裏切れば、逃げれば、殺される。
私はまだ死にたくなかった。だから、必死に実力をつけて、国王にとって大事な戦力になった。
……でも、今、あの頃と何か変わったことはある？
頑張って頑張って、やっと国王に認められるようになって、人を殺めるような仕事でも自分が死なないために請け負ってきた。
それでも、いつ切り捨てられるか分からずに毎日必死に任務をこなして生きている。失敗が許されない世界で。
いつまで経っても、いつ見捨てられて殺されるかという恐怖も、緊張も消えない。
だったら、もし死ぬことになっても、この国で生きていける可能性に賭けたい。
だから今、なかむ様を止めなければ…！
『私は、元 α国のスパイです』
「………は、？」
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すみれいん(プロフ) - らむね☆さん» いえいえ！私も言っていいものか迷っておりまして…。もしあれならこの誤字のやり取り消してもらって大丈夫ですので！！ (6月7日 23時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
らむね☆(プロフ) - すみれいんさん» わわわ…ありがとうございます。たまに気付いてない誤字あるんですよね…！指摘凄く助かります！ (6月7日 21時) (レス) id: 5aa85bc4da (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - たまに読み返しに来てます。いつも読みふけって忘れてしまうのですが47話の大先生さんの件のお話のciが訂正するところ、こいつの名前っていう所がこいつほになってますよ(こそっと) (6月7日 15時) (レス) @page47 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
だいふく - smさんと夢主はよくっつけ〜！めっちゃラブラブカップルになる予感！これからも投稿頑張ったください！ (2023年1月5日 21時) (レス) @page50 id: 8b39de642b (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - 続きまってますﾜｸﾜｸ (2022年10月5日 17時) (レス) id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむね☆ | 作成日時：2022年5月19日 15時
