【刀剣乱舞】裏歴史調査本丸 壱【薄桜鬼】

●〇●〇 ページ5

睦月さんが座ったと同時に
差し出す報告書。
それを胡散臭い笑顔のまま手に取り、
静かに黙読している。

この人、笑顔を崩す事はあるんだろうか…。




睦月「はい、いつも通り順調ですね。
さすがAさんです」

A「ありがとうございます。
お蔭様で、順調にこなさせて頂いています」

睦月「あはは。そんな謙遜しなくていいですよ。
Aさんの本丸は指摘する事がないので、
僕としては有難い限りです」




報告書をファイルに挟み、その表紙を閉じた。
あとは健康診断を受けて終わりだ。




睦月「さて、今日はAさんに
もう一つお話しがあります」




はて？
これはイレギュラーな事だ。

いつもなら医務室に連れて行かれて
診察があるのだが、それより先に話があるのか。

何の話かと首を傾げれば、
睦月さんはいつも以上に
胡散臭い笑顔で扉へと顔を向ける。




睦月「入ってください」




入室を促されて入って来たのは…。




A「弥生さん？！」

弥生「Aちゃん、久しぶり！元気してた？」




以前の担当者だった弥生さん。
廊下などですれ違う以外で会うのは久々だったし、
ちゃんと会話を交わしたのは約１年半振りだ。

何故弥生さんが、この会議室に？
と、疑問に思ったが、
よくよく考えれば弥生さんは専門部の部長。
その専門部の部長が来るということは…、

まさか…。




弥生「あのね…」

A「もうやりませんよ。
私は任を解かれたんですから」




あんな仕事はもうしない。
それに、彼らとも約束したんだ。

【もう二度と、私はいなくならない】って。

警戒している事を悟ったのか、
弥生さんは困ったように眉目を下げて、
肩下までの髪を弄(もてあそ)ぶ。

その癖、本当に直した方がいいと思う。
感情を悟られてしまうのだから。




弥生「Aちゃんの後任は決まって、
その子が既に引き継いでるから違うよ」

A「？？」

弥生「私がAちゃんに話をしに来たのは、
私たち専門部に新しい課が増えたんだ。
そこの仕事をしてもらう為に来たんだよ」




新しい、課？
しかも、弥生さんの言い草は
既に決まっているといった言い方だ。

私に拒否権はない。いや、今更か。
前の時だって、私に拒否権なんて無かったんだから。

弥生さんは睦月さんの隣に座り、
一枚の紙を私の目の前に差し出した。

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