【刀剣乱舞】裏歴史調査本丸 壱【薄桜鬼】

１０．不思議な男、馬越三郎 ページ21

〜沖田総司side〜

隊士達に稽古をつけていたら、
一くんが長身の男を連れて来た。
その男を見た時、僕は少し驚いたんだ。

だって、雰囲気が土方さんに似ていたから。

入隊試験を受けに来た男を、
一くんと話をしながら横目でみてみたけど、
あの目つきとかが、やっぱり土方さんに似てる。

他人の空似ってやつなんだろうけど、
ここまで似てるなんて不思議な男だと思った。

一くんから木刀を受け取った男の剣技は凄くて、
僕が相手をすれば良かったって思うぐらい。

だってさ、あの一くんの居合を避けたんだよ？
興味が出るに決まってるよね。

それにあの構え。
一瞬だけだったけど、僕は見逃さなかった。




沖田「君、すごいね。
何処でその剣術を習ったの？」

和泉「え？いや、習ったってわけじゃ…」

沖田「じゃぁ、見様見真似ってやつ？」




そう質問すれば、
この男はバツが悪そうに視線を逸らした。

……何だろう。この男、気になる。




斎藤「総司。俺は副長の所へ報告へ行ってくる。
そいつの事を頼む」

沖田「はいはーい。今日の稽古はここまで。
ちゃんと後片付けしてから戻りなよ。
じゃぁ、行こうか」




木刀を隊士に渡して、僕は前川邸へと向かう。




和泉「あの、何処に…？」

沖田「君たちが寝起きする場所だよ。
八木邸は僕たち幹部隊士たちがいるから、
何かあったらそっちに来てね」

和泉「じゃぁ、俺は…」

沖田「合格だよ。
君みたいな腕の立つ子、見逃すわけないでしょ」




なぁんだ。ずっと不安そうにしていたのは、
合否の事だったのか。


ほっとしたような表情になり、男は…。




沖田「君、名前は？」

和泉「い…、馬越三郎です」

沖田「馬越くんね。
僕は一番組組長の沖田総司。
君みたいな子が一番組に入ってくれると
いいんだけどな」




前川邸の門を潜り、
中にいる隊士達に馬越くんを紹介する。

ちょっとずつだけど、
隊士が増えてきているおかげで、
一部屋に最低でも４人が生活している。

その中に馬越くんを入れた。




沖田「君の部屋はここね。
濱口くん、君がこの部屋で一番の古株だから、
新人の指導してあげてね」

濱口「分かりました」




馬越くんを部屋に突っ込み、
僕は足取り軽やかに前川邸を後にする。

向かうはもちろん副長室。
あの馬越くんは絶対に一番組が貰うんだ。

久しぶりだな。
あんなに強い子に出会ったのは。

僕のお気に入り候補の一人に
してあげてもいいかな。

１１．不安な一日→←〇●〇●

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