ごわ ページ6
安元さんとは、しばらく2人で中村さんのギャップに悶えた後、別々の仕事があるからと別れた。
私のお次のお仕事は、悠木碧さんとのラジオ。といっても先ほどの現場が早く終わってしまったのでまだ時間には余裕がある…。どうしたものかと、ラジオのスタジオの前で1人悩んでいると、急に視界が真っ暗になった。
「…碧さん、ですか？」
悠 「せいかーい！まだ声出してなかったのによくわかったね？」
「碧さんこれやるの何回目ですか、手の感触ぐらい覚えますって。」
んっしょと背伸びをして私に背後から目隠しをし、世の男性が羨む『だーれだ♡』をした碧さんは相変わらずの可愛さである。写真ももちろん可愛らしくていらっしゃるのだが、実物はなんというか、持って帰りたくなるほど可愛らしい。というか愛くるしい。
悠 「Aちゃんは今何してるの？」
「暇してます〜」
悠 「そっか…じゃあ、碧ちゃんって呼んでみましょうか」
「無理です」
悠 「即答！？」
打てば響くように答えが返って来る碧さんを、みなさんが面白がっていじる気持ちがわかるような気がした。慌てる碧さんを微笑ましく見つめていると、おい！っと怒られてしまった。
「だって先輩ですもん」
悠 「いやいや、Aちゃんなんか人生の先輩じゃん。」
「ただ年食ってるだけですよ」
悠 「碧ちゃんって呼んでタメ口で話してくれなかったら、私今日のラジオ敬語で話しますよ」
「どんな脅迫よそれ…」
悠 「まぁそれはいいとして、Aさん誰と同期なんですか？」
ううう…と敬語で話して来る碧さんに唸りながら恨みがましい視線を向けるが、そんなことを気にしていないようなので、碧さんの質問に答えるべく、記憶を探る。
「誰でしょう…深く考えたことなかったですね」
悠 「そっかぁ…。でもいつかでいいから呼びタメにしてほしいな」
「慣れたら、ですけど」
渋々了承の意を込めていうと、碧さ…碧ちゃんはパッと花が咲いたように笑った。碧ちゃんの笑顔が見れるならそれでいいか、なんて思ってしまった私はきっと、悠木碧という人間が大好きなんだろう。
悠 「あ！打ち合わせ始まるって〜」
「はーい！」
あんまり回数を重ねていない私と碧ちゃんのラジオは、まだまだ手探りな部分が多い。碧ちゃんはラジオパーソナリティーを経験しているとはいえ私は未経験だった。
脱・負んぶに抱っこ、である。
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