5 あの日-2- ページ7
「お前も強くなったものだな。まあ、まだまだ私にはかなわんが!」
この、相変わらず上機嫌の主人やお金持ちに恨みがあるわけでもなく、嫌ってはいなかった。むしろ、悪い人ではないと思っている。
(忙しいなかゲームに付き合ってあげている分、給料は少し多めにくれているし、主人の機嫌を損ねたら、くれるお金も減るだろうなぁ。ちょっと面倒だけど、大事な収入源が無くなったら困るからね。)
そんな事を思いながら時計を見ると、既に九時を回っていた。
「いやーまいりました。あ、すみません。そろそろ帰らせていただきますね。」
「そうか…確かに夜も更けてきたな。気を付けて帰るように。」
「はい。御心配ありがとうございます。」
そう言って席を立ち、いらないと言ったが玄関まで見送りに来てくれた主人と婦人に別れを告げ、暗い道を歩き出した。
(それにしても寒いからかな?さっきから人が全然居ない。)
朝比奈が主人の家を出て数分がたっていた。何時もならもう少し人が出歩いている道も、今日は少なく感じた。
(あ、お金が貯まったら新しいコート買おうかなぁ。そろそろ古くなってきたもんなー。)
朝比奈が新しく服を買おうかと考えていると背後から何者かが近づいてきていた。
その者は朝比奈の後に立ち、気付かれないよう静かに歩いていたが朝比奈が角を曲がり、細い路地に入ると朝比奈に向かって大きな腕を振り下ろした。
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作者名:どんぶり太郎 | 作成日時:2017年3月4日 23時