3 理由 ページ4
波多野と講義室に入ると、既に何人かの学生が集まっていた。
「体術の訓練か？お疲れ様。」
田崎はそう言って二人に笑いかける。
「ありがとう。もー！ほんとに優しくないんだよ！！」
「いや、充分優しいだろ！！」
田崎がまあ、まあと言って波多野をなだめていると、近くで話を聞いていた福本が会話に参加してきた。
「……あんまりいじめたらダメだぞ？」
「福本てめぇ！！いじめてねぇつってんだろ！！」
福本が((苗字))の肩を持ち、波多野はさらに機嫌を悪くした。
「波多野落ち着いて。ほら、鳩だよ。」
「鳩をチラつかせんなよ！」
波多野が騒ぐ中、すぐ側で朝比奈は
ねー小田切くん聞いてよ。波多野がねーー
と、波多野の訓練に対し、未だに文句を言っていた。
そうしているうちに教室に甘利、神永、三好の3人が入ってきた。
「え、なになに？波多野が朝比奈ちゃんいじめたの？」
「うっわ、さいてー」
甘利と神永がニヤニヤしながら波多野を責める。
「ねぇ！なんでさっきから俺が悪いみたいになってんの！？」
波多野が声を上げるなか、朝比奈は三好に話しかける。
「ねぇー！三好ー！また波多野に投げられた！」
「それは貴女が鈍臭いからでは？」
「お前らもっと静かに出来ねーのかよ！ほら！実井を見習え！」
そう言って波多野は自分の席で本を読む実井を勢い良く指差す。実井はあからさまに嫌な顔をし、巻き込まないで下さいと言い放つと、再び本に目線を落とした。
そうこうしているうちに結城中佐が講義室に入ってきた。
一同は静まり、各々自分の席につく。
今日はいったいどんなことを学ぶのだろうか。
今まさに講義が始まろうとしているなか、朝比奈はふと思う。
ーーそういえばあの時、結城中佐はどうして私にD機関で訓練を受けないかと誘ってきたのだろう？
少し昔を思い出し、ぼんやりと思考を巡らせていたが、答えは出るはずもなく、結局授業に集中する事にした。
ーーそのうち分かるかな。
朝比奈はそんな事を思いながらそっとノートを開いた。
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作者名：どんぶり太郎 | 作成日時：2017年3月4日 23時
