1 出会い ページ2
昭和十三年、春。
D機関が設立されてから数ヶ月後。
過酷な選抜試験を突破した8人の学生達は、設立者である結城中佐の元に集められていた。
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「結城中佐。」
学生を代表し三好が扉を軽く叩く。
「(!?)」
部屋に入ると学生達は皆、表には出さないものの内心驚愕していた。
そこに居たのは、本来居いないはずの人物、
艶のある黒髪に、赤い唇。暗い色のジャケットに、同じ色のーーーー
スカート。
そう、そこにはD機関に居るはずのない女性の姿があった。
「………。今日は貴様らに、新たなD機関員を紹介する。」
「…………。」
結城中佐はそう言って、机の横に立っていた女性に、一瞬視線を向け、彼女を紹介した。
「朝比奈(あさひな)だ。彼女は今日から、D機関のメンバーに加わることになった。」
全員がその朝比奈という女性に視線を向けると、彼女は軽く会釈をした。
「……………結城中佐。」
誰も口を開こうとしない中、初めに沈黙を破ったのは実井だった。
実井は発言を求め手を上げる。
「なんだ?」
「はい…。その…D機関への採用は男性だけ…では…?」
その問に結城中佐は微かに口角を上げ、答えた。
「ああ…
だが、何事にも例外というものがある。ここにいる朝比奈はそこらの女とは違う。貴様らもそのうち分かるだろう。」
全員「…………。」
結城中佐の答えになっていない答えに、一同は若干の不満を覚えたが、これ以上質問しようとする者はいなかった。
第一、朝比奈はあの結城中佐に''そこらの女とは違う''と言わせたのだ。
それだけの何かがあってここに居るのだろう。
「何にせよ、今日から朝比奈も貴様らと過ごすことになる。彼女にどう接するかは各々自由にしてもらっていいが…朝比奈が知らない事は貴様らで教えてやれ。」
結城中佐がそう言うと、朝比奈と呼ばれた女性は静かに一歩前へ進み、8人の学生に向かって挨拶をした。
「よろしくお願い致します。」
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作者名:どんぶり太郎 | 作成日時:2017年3月4日 23時