【男主】俺の区域に入ってくんな 3

☆区域119☆ ページ28

＿＿二年前 りまside＿＿＿


苦しくて、悲しくて、どうしようもなかった。



友達にも、彼氏にも、家族にも裏切られた。



私は、どうしたらいいのか分からないまま、公園のベンチに座っていた。



空を見上げると、綺麗な月があった。とっても、とっても綺麗な月。



じわりと視界がぼやけてきた。泣きそう。



月を眺めながら泣いていると、ケータイの着信音みたいのが聞こえた。



「誰かそこに居るの…？」



少し、怖かったけど好奇心で誰かいるのか気になった。



すると、男の人が木のところから出てきた。



私は驚いた。こんなに綺麗な人がいるなんて。



今まで会った人の中で、一番綺麗な顔立ちをしている。



「…っあなたは…？」



ついつい見とれてしまった。



ずっとこの綺麗な顔を見てていたかったけど…変な人に見られちゃうよね。



「…俺は通りすがりの人」



「…ふふっ、おもしろい人」



彼の声は甘い声で、とろけそうなほどだった。チョコレートみたい。



彼の言ったことが面白くて、私が笑っていると、彼も笑った。



綺麗な顔をしているのに、笑うと少年のように無邪気で少し幼さが残っていて、かわいかった。




その瞬間にはもう、私は彼のことが好きになっていた。

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