爪を立てて君に言ふ (ページ1)

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『おかえり』

横「ただいま。いい子にしとったか？」

『うん』

このやり取りが、私たちにとってたまらなく愛おしいものだった。

ソファーで2人で並んで、テレビを見る。

体を綺麗にすれば、そのうちご飯が出てくる。

横「ご飯やで」

『はーい』

横「ちゃんと食べや？細いんやから」

『いつもちゃんと食べてるよ』

そっか、と頭を撫でて、彼も自分のご飯に手を付ける。

『ねえ』

横「どないしたん？」

『まだ寝ないの？』

横「んー、今日は台本覚えなあかんからなぁ」

『また一緒に寝れない？』

横「ベッド行こか」

彼の優しい声が大好きでたまらなかった。

ベッドに入れば、彼の柔らかい指が私の体を撫でる。

『くすぐったい』

横「かわええな」

『この前来てた女の人誰？』

横「先に寝てええよ」

『いつも答えてくれないね』

私の恋はいつまでも実らない。

そんなの私が1番わかってるよ。

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