君をこの手で包みたい.3 (ページ26)

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大「平気？」

大倉くんが近寄ってきて、

顔を覗き込まれる。

『見ないで…！！(泣)』

こんなとこ見られたら恥ずか死する。

大「……ごめん」

離れようとする大倉くんが、

なんとも寂しそうな声を出す。

私は天邪鬼だ。

突き放すほど戻ってきて欲しい。

『……行かないで…(泣)』

大「………うん」

『…留学も行かないで…(泣)』

大倉くんの服を掴んで、わがままを言う。

大「…ごめん…留学する」

『………(泣)』

大「好きやで」

やっとこっち向いてくれた。

大「ほんまに酷いこと言ったと思ってる」

『……私も…私も好き…(泣)』

大「うん…俺も好き」

薄暗い部屋の端っこで、強く、強く抱きしめ合った。

大「Aちゃん、話聞いてくれる？」

『……1回も…呼び捨てしてくれたことないね』

そんなこと言ったら私もか。

大「A」『忠義』

声が重なって、視線が重なって、

2人で微笑みあった。

大「話、聞いて？」

『うん』

大「俺、別れる前からほんまに酷い男やったし、別れる時だってあんなこと言うてもうた…」

『うん』

大「それにそのあとの行動も、とても許してもらえる行動とは思えへんし、浅山さんのことに関しては論外やし…」

手が重ねられて、優しく撫でられる。

大「一生尽くす」

『……うん』

大「せやから…その…」

『留学やめてくれる？』

大「え」

『うそ笑………待つよ、日本で』

ずっと、ずっと固まって詰まって、

苦しかったものがスーッと溶けていった。

『だから……浮気しないで戻ってきて…帰ってくる時は1番に報告して欲しいし…向こうであったことも全部聞きたい…(泣)』

大「泣かんといて…」

優しく涙を拭う仕草が、胸をきつく締め付けた。

大「俺も離れるの辛いし…イケメン現れたら嫌やし…」

『漫画の見すぎ…笑(泣)』

それに、私からしたらイケメンは大倉くんだけ。

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大「結婚しよう」

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『…え？』

驚きすぎて涙も引っ込んだ。

『なに？…なんて…？(泣)』

大「戻ってきたら、結婚しよう」

そう言って手をぎゅっと握った大倉くんに、

私は勢いよく抱きついた。

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