初恋は大人味 (ページ23)

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渋「高2の春に沙羅と付き合った」

すぅくんがぽつぽつ話す言葉をひとつずつ拾う。

渋「……その年の夏に、Aが好きやって自覚した」

名前で呼ばれるのいつぶりだろう。

渋「それで…沙羅に振られた…」

『なんで？』

渋「…そんなロリコン野郎好きになった記憶ないって」

すぅくんは私の5個上。

高2のすぅくんからすれば私は中1。

渋「それを気にしてではないけど…お前が18になるまでは、遅くても20歳までは待とうと思って…」

『ほななんでキスしたん？』

それが、ずっと不思議やった。

渋「……好きやから」

『……あほ』

甘い雰囲気に飲み込まれそうになると同時に、

遠くから足音が近付いてくる。

『………え？』

大「なにしてん」

奥の方で遊んでいた若い男の人たちは、

大倉くんの友達やったらしい。

渋「だれ？」

大「Aちゃんと同じクラスの大倉です。」

『大倉くん…』

大「なん？」

『……ごめんなさい…』

渋「付き合ってるん？」

大「まだ付き合ってません。クリスマスにデート行く約束してるのでそこで告白しようかと思ってるところです。」

渋「言うてまうんや笑」

大「変な虫に取られへんように」

すぅくんと大倉くんが睨み合う。

『あの…』

渋「俺帰る…」

大「そうですか。」

すぅくんが帰っていって、

気付けば公園には私と大倉くんだけ。

『…大倉くん』

大「言い訳？」

『…違う…』

大「あの人がずっと片想いしてた人やろ？」

『…そう』

怒ってるかな。

いや、怒ってるに決まってる。

大「……クリスマス、イルミネーション行こう」

『大倉くん…』

大「そこで俺の気持ちちゃんと伝えるから。それまではちょっとだけ休憩。な？」

そんな悲しそうな顔させたくない。

『……うん』

大「ん。ありがとう。ほな送るわ。行こ？」

クリスマスまであと2週間。

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