君をこの手で包みたい.2 (ページ17)

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私がバイトに向かう途中、

大きな病院がある。

詳しく聞いてないからわからないけど、

多分麗奈さんが入院してるのはここだろう。

ｻﾞｰｰｰｰｰｰｰ…

今日も今日とてザーザー降り。

憂鬱な気分とともにバイトへ向かった。

その途中、なんとなく。

本当になんとなく病院の方へ視線を送った。

雨の日にも関わらず、

病院の広場で抱き合う2人。

あぁ、そうだよね。

うん。

大倉くんと麗奈さんだ。

ｶﾗﾝｶﾗﾝ…

渋「おー。やっぱ雨はあかんわー。全然客入らへ………は？」

『…すば、るさ……(泣)』

渋「おいおい、なに泣いてんねん」

あのすばるさんが珍しくタバコを消してこっちへ来る。

『やだ、顔見ないで…(泣)』

渋「ブスは見慣れてるわ」

この人、なにがしたいんだろう。

『…もういいんです…私はどうせ二番煎じにしかなれない…(泣)』

渋「フラれたんか？」

『まだフラれてない！！！(泣)』

渋「まだて…」

あわあわしてるすばるさんをよそに、

私はめそめそ泣き続け、さっきあったことを話す。

渋「さ、店閉めよ」

『ｸﾞｽｯ…閉めちゃうんですか？』

渋「この雨やったら客も来うへんわ。」

『せっかく来たのに…』

渋「泣いてるやつ働かせるわけないやろ」

そう言って店終い。

『帰ります』

渋「送るわ。車やし」

『……どうも』

裏へ行くと赤い車があって、

すばるさんがその車の鍵を開けて荷物を乗せた。

渋「ちょっと遠回りしよか。話聞いたるわ」

『…ありがとうございます』

そう言ってすばるさんが車を走らせた方向は、

家とは真逆で、病院を通らないルートだった。

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