君をこの手で包みたい.2 (ページ15)

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『えっ、今日も？』

大《おん。ほんまにごめんな》

今日も麗奈さんのとこに行くらしい。

大《麗奈のお父さんにどうしてもって頼まれて…》

電話の向こうから救急車の音が聞こえる。

もう病院の前にいるんじゃん。

『…それってさ』

大《うん？》

『それって…大倉くんじゃないとだめなの？』

分かりやすい、嫌な嫉妬。

自分のことが一気に嫌いになる。

大《…ごめん、ちゃんと埋め合わせはするから。》

『………』

大《Aちゃん？》

『ううん、ごめん。いってらっしゃい』

あくまでも、麗奈さんは大倉くんの大切な人。

私が割り込む隙もない。

大《今度バイクでどっか行こか》

『え？』

大《ん？嫌？》

『…ううん、楽しみにしてる』

大《梅雨明けになってまうけど…それまで待っとってな》

それはきっと、少なくとも梅雨明けまでは麗奈さんが最優先って事なんだろうな。

『いってらっしゃい』

大《ん。いってきます》

こんな時まで優しい大倉くんの声にときめいてしまう。

『はぁ…』

電話を切ってふと外を見ると、

ポツポツと雨が降り始めていた。

ｱﾅ《大阪では梅雨入りが発表されました》

大倉くんに会いたい。

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