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「もしもしおかん？」
母《忠義。どないしたん急に電話なんて》
「あんなー、香奈には内緒にしといてほしいねんけどな」
香奈に言われたことを話す。
母《あらそうなん？まぁあんたもそろそろ29やし。ええんちゃう？》
「ちゃうわ！そっちやなくて！安静にせなあかんから、家事とかやってやりたいねんー。教えてほしいなーって」
明日雪降るんちゃうかー？っておかん。
やかましわ！
母《こんなもんやと思うけど。》
「…家事って大変なんやな」
母《とりあえずやで？まだ沢山あるからな？》
俺そんな家事したことないて。
自炊とか風呂洗い程度やと思っとった。
「まぁええわ。わからんことあったらまた聞く」
母《んー。そうしてー》
「おん。ありがとう」
母《はいはーい。あ》
「ん？」
何かを思い出したようなおかん。
母《Aちゃんのお母さんから電話あったで》
「…なんて？」
A。
〜〜〜〜〜
『たぁくん、おんぶ！』
〜〜〜〜〜
母《なんて？って。別にこれと言ってないけど。久しぶりにちょっと話したくらいやで》
「…そう」
なんやこの心の底のモヤモヤ。
「ほなな」
母《はいはーい》
なんやろう。
香「おかえりー。忠義？」
「あ、うん。ただいま」
A、元気にしてるやろうか。
香「ご飯は？お風呂先？」
彼氏とかはおるんかな。
香「籍入れる日いつにするー？」
結婚は…してるやろうか。
香「なぁ忠義、聞いてる？？」
「うるさいな！！！」
香「ﾋﾞｸｯ……なに、急に…」
「あ、ちが……ごめん…」
頭が真っ白になる。
香「結婚したくないん？」
「…ちゃうくて…考え事しとって…」
香「……もうええ」
「ちょ、香奈！どこ行くん！」
香「うるさい」
ｷｰ…ﾊﾞﾀﾝ…
重たいドアの閉まる音。
「ちゃう…ちゃうねん香奈…」
置いて行かんといて。
これ以上、俺を1人にせんといて。
俺にはもう香奈しかおらんねん。
香奈がおらんと生きていかれへんねん。
Aが引っ越して1人になった俺を助けてくれた、
香奈しかおらんねん。
…あれ？
「あぁ……そうか……」
パズルのピースは、
決まったところにしかはまらへんねや。
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作者名：ゆりかご | 作成日時：2021年1月1日 5時
