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Aside
大「どないしたん？急に呼び出して。」
『忙しいのにごめんなさい』
仕事終わりの夜、大倉さんを焼肉屋さんに呼び出す。
大「生でええやんな？」
『あ。その…』
大「すみません、ウーロン茶2つ。」
お通しと飲み物とお肉が運ばれてきて、
お肉を網の上に乗せれば真っ白な煙があがった。
大「で？どないしたん？」
『……元カレと…よりを戻しました』
大「やすやろ」
『え…』
なんで？
知ってたの？
大「初彼氏もやす。ずっと好きやった人もやす。元カレもやす。違う？」
『…そうです…』
大「うん。おめでとう」
やっぱり身体だけだから落ち込んだりはないか。
いや、別に期待してた訳じゃないけど。
『もう大倉さんとは会えません』
大「おん」
お肉を焼く音だけが個室の部屋に響き渡る。
『あの時…私を救ってくれてありがとうございます』
大「うん。」
『…自分勝手でごめんなさい』
大「うん。」
大倉さんはうん。としか言わず、
ただずっとタンを焼き続けた。
大「……ほんまはずーーーっと知っとったで」
『え…？』
大「やすのこと好きなの」
知ってたんだ。
大「ほな俺も話そうかなー。」
なにかと思えば、ｶﾁｬﾝと音がして、
網の上にお肉は1枚もなかった。
大「…彼女もうそ。身体だけもうそ。」
『……え』
大「ほんまはAちゃんのこと好きでした」
大倉さんの優しい顔。
大「けど、2人とも未練タラタラやし、ここで俺が付き合ったところでお互い苦しいやろうなと思って、彼女がいるって設定にしただけやで」
『…なん、で…』
大「ずっと辛かったやろ」
『…(泣)』
大「はよ楽になり。幸せになるんやで」
帰ろか、と言って伝票を持った大倉さん。
『奢ります！』
大「ええよ。奢らせて。最後やし。」
申し訳なく思いながらも代金を支払ってもらった。
『あの…』
大「あ、やす来てるで」
少し離れたところの黒い車。
大「ほなな。」
『あ、ちょっと…』
そそくさと大倉さんは帰って行って、
私はしょうちゃんの車に乗り込んだ。
安「…」
『お迎えありがとう』
安「………大倉から連絡あって」
『…？』
安「Aのこと迎えきてって」
赤信号の光が車内に差し込む。
『……ちゃんと終わったから』
安「わかってるで」
私の右手を握るしょうちゃんの手に力がギュッと入った。
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作者名：ゆりかご | 作成日時：2021年1月21日 21時
