【H×H】美少女はクロロの弟子！せぶんす！

173 「季節外れ！？んなこたぁ知らねぇな！！」 ページ27

更新遅くてごめんなさい！






【no side】

ノストラードファミリー屋敷。その応接間にて、先日若頭に就任したばかりの青年ーークラピカは一瞬言葉を失った。

「トリックオアトリート」

意は「おかしをくれなきゃいたずらするぞ」。毎年10/31に世界中で盛り上がるイベント、ハロウィーンでお化けに扮した子供たちが唱える呪文だ。現代のハロウィーンは単なるコスプレ大会のような、意義も意味も何も無いイベントと化しているが、そもそもは古代ケルト人による宗教的儀式であり……と脳内でうんちくを披露しつつ、ポケットを探ってアメを取り出し、渡してみた。

「え、あ、どうも」

何故かお化けの方も狼狽した様子でアメを受け取る。
その様子を見てやっと、10/31などとっくに過ぎていることを思い出す。

「あ、イチゴ味……かわいい」

言いつつピンク色のアメちゃんを口に放り込んだ女性は、目元を包帯で隠しており、お化けのつもりなのか白いシーツを頭からかぶっている。
予想だにしていなかった登場に混乱していた頭を落ち着かせ、改めて女性の姿を確認してクラピカはため息をついた。

「……やっぱりお前か。セレネ」

セレネと呼ばれて、にっこり笑う。シーツをそこらに投げて、ソファに座り込んだ。

「はぁい、クラピカ。ご機嫌いかが？」

「何の用だ？」

「冷たい。いつの間に-273℃の冷たさを獲得したの？」

相変わらずの軽口だ。彼女と会うのはヨークシンシティ以来……幻影旅団との対戦から初めてのことだ。

「私は冷たくなった覚えはない。今日をハロウィーンと間違えるほどお気楽な頭が熱すぎるんじゃないか？」

「あっは、言うなぁ。でも、ある意味事実かも」

くすりと笑ったセレネに、クラピカは眉を潜める。先ほどから気になってはいたが、やたらとオーラの動きが落ち着かない。突然多くなったり減ったりするし、ゆらめきもおかしい。

「熱でも？」

「38.9。でも風邪じゃないよ。緋の眼のせい」

「緋の眼の？」

しゅるりと解いた包帯の下に輝く緋色。熱のせいか潤んで、色が溶け出しそうなほどだ。

「この前からずっとこうなの」

「抑えられないと？それが用か」

「いや、それはどうでもいい。多分師匠に会えばいいからね」

本題はこっち、とセレネが取り出したのは古い紙束だった。

「……クルタ文字？」

「私の母の日記。私はクルタ語が読めないから、読んでくれないかな？」

「具合も悪いのに、こんなことのために来たのか」

断る、と言いかけたクラピカにセレネは怪しげに微笑んだ。

「だから、『トリックオアトリート』って言ってるでしょ？」

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