257 「けど、神さまは信じてない」 ページ11
*
【クロロside】
「ーーーー！！」
悲鳴が聞こえた。
何か言ったのかもしれないが、言葉になっていない叫びだった。
男たちに囲まれた中心に少女は倒れており、血を流していた。
少女は髪が長かったが、その色はほとんど白で、ひどく衰弱している。
オレはただ、その瞳の金に目を奪われた。
「……シビュ……ラ」
再び少女が叫んだ。
あまりに悲しい声に、身体が勝手に動く。
少女を殺そうとしている奴らを全員殺し、信じられない思いで血に臥した少女の前にしゃがんだ。
少女はぼうっとした目でオレを見る。
瞳に映る果てしない虚無が、悲しい。
「……オレが、わかるか？」
聞いてみたけれど、少女は答えない。
じっと、ただオレを見つめるだけだった。
忘れているだろうとは思っていた。
けれど、もしかしたら覚えていてくれるのではないかとーーそれが懐古でも、憎悪でも、何でも良いからーー期待していた自分がいた。
止めどなく血が流れていく。
このままでは、少女は死ぬだろう。
少女の口元に指を近付け、オーラを送り込む。
少しの間そうしてから、少女を抱き上げて走り出した。
「……セレネは」
出会った頃のことを思い出し、セレネを思う。
「小さい頃のことなど覚えていなかった。ただ、眠りながら母親を呼んで泣くことはよくあった」
あまり酷く泣いた時に、大丈夫かと問うと腫れた目で曖昧に笑って、言った。
「自分でも、何で泣くかよくわからない。夢のことなんか覚えていないしーーただ」
「ただ？」
「それ以上は何も言わなかった。オレに話してくれたのは、その一度きりだ」
「それが、なぜセレネを束縛することに繋がったんだ？」
隣に座った友人が首を傾げた。
「……何故だろうな」
「はぐらかすな。そうやって自分にさえ本当の気持ちを隠すところは、お前の悪い癖だ」
……そうだな。オレはいつだって、セレネの前でそうしてきた。
結局、オレとセレネは同じようなもので、互いに自分を押し隠してきた。
「オレはーー」
セレネが再びオレの前に現れた時、もう離さないと思った。
セレネはオレのものだ、だからもう離さない。
離しちゃいけない。
セレネがオレを覚えていないことは、むしろチャンスだ。
もし昔のシビュラのままだったなら、オレから逃げただろうから。
師弟という関係を作り、今のセレネが求めているものを与えてやれば、虚無に苛まれている彼女はオレに依存するだろうと思った。
そしてーーその通り実行した。
「で？お前はそれで良いと思ってるの？」
*
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レン(プロフ) - このシリーズ3周するくらいとんでもなく面白かったです!!!!!更新停止なのは悲しいけどいつまでも待ってます！ほんとにこの作品大好きです!!!!! (1月28日 21時) (
レス) @page34 id: d242f3e9c7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - ついにキメラアント編っ！更新停止になっちゃってるけど、また更新再開してくれると嬉しいです！ (2021年8月26日 13時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - このシリーズめっちゃくちゃ好きです！更新待ってます！！ (2021年2月1日 8時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
Kan - 更新楽しみにしてます(^_^)ﾉ (2020年9月19日 23時) (レス) id: 807bcc086e (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草 - フレンチトースト頬張るふぇいたん可愛すぎる！！！ (2020年6月5日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤原 黎明 | 作成日時：2019年8月7日 21時
