255 「師匠に会いたい抱き締めたい抱き締められたい寂しい寂しい寂しいーーーー」 ページ9
*
「あ」
朝。
二日酔いの男性陣をベッドにぶん投げまくってから、朝ごはんにパンをかじっている最中、ふと気が付いた。
「どうかしたのかい?」
「……まぁ、うん」
マチが首をかしげるのがかわいい。髪下ろしてのもかわいい。……落ち着け私。
「師匠と出会った日だなぁと思いまして」
へへ、とちょっと照れくさくて笑う。毎年、この日は師匠が一緒にいた気がするんだけど、今年は残念ながら不在。
「もう5年かー」
特に記念日というわけじゃないけど、なんとなく感慨深くなる。
師匠に拾われなければ、私は間違いなく死んでいた。
別に死にたくないと思っているわけではないけど、師匠が5年で私に与えてくれたたくさんのものを思えば、生きていて良かったな、なんて思ったり。
「……その辺の記憶って、マチたちは知ってるんだっけ?」
「ぼんやりと。でも、アンタの意識がはっきりしてなかったから経緯はよくわかんない」
「んー、そっか」
それなら、少しだけ昔話を始めてみようか?
クルタ族が、皆殺しにされた。
私が憎んでいたクルタ族がだ。
私はその頃、流星街の暗殺者として働いていた。人を殺して、この経験がいつかクルタ族を殺す時に役に立つと思ってた。
クルタ族への憎しみを糧に生きていた私は、生きる意味を奪われたのだ。
「あははは、ははッ」
途端に自分が愚かに思えてきて、私は笑った。
胸のあたりが乾いて、ヒビが入って、痛くて仕方がなかった。
何かをめちゃくちゃにしてやりたかった。
何か、なんでも。
大きな音を立てて、バラバラに、粉々にしてやりたかった。
「もう、どうでもいい」
真っ黒な何かが、身体中から溢れ出した。
これは、感情?
違う。私の、力だ。
全て壊せる力。
黒い何かは鋭い刃物のような形に変わり、
近くにいた人の首を刎ねた。
心地良い悲鳴が耳を貫く。
「……はぁあ」
絶望を感じた瞬間、瞳が緋色に変わる。
「誰が私を満たしてくれるのかなぁ」
まあ、いいや。
壊すだけだ。首を刎ねてやるだけ。
折角だから、楽しもうよ。
今だけは、この力に酔わせてください。
じゃなきゃ、私は……
消えてしまう。
まるで神に祈るように跪き、オーラでできた漆黒の刃で人を殺し続けた。
ある場所で人を殺し尽くしたら、また別の場所に行って殺し、それも終わればまた次、といえことを繰り返して何日か。
マシンガンで撃たれた時、やっと正気を取り戻した。
窓の外にぶっ飛び、激痛で我に返ったのだ。
*
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レン(プロフ) - このシリーズ3周するくらいとんでもなく面白かったです!!!!!更新停止なのは悲しいけどいつまでも待ってます!ほんとにこの作品大好きです!!!!! (1月28日 21時) (レス) @page34 id: d242f3e9c7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - ついにキメラアント編っ!更新停止になっちゃってるけど、また更新再開してくれると嬉しいです! (2021年8月26日 13時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - このシリーズめっちゃくちゃ好きです!更新待ってます!! (2021年2月1日 8時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
Kan - 更新楽しみにしてます(^_^)ノ (2020年9月19日 23時) (レス) id: 807bcc086e (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草 - フレンチトースト頬張るふぇいたん可愛すぎる!!! (2020年6月5日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2019年8月7日 21時