210 「む、う……そろそろ交わってくる、かな……」 ページ5
*
【no side】
海に面した港町、その内世界でも有名な店ーー新鮮な魚介類を水揚げからすぐに食べさせてくれるというーーでは、一際目立つ男女が1組。
「セレネ、食い過ぎだ」
「だって美味しいもん」
ちらちらと客からも店員からも視線を集める2人は特に気にした様子も無く、男の方は茶を飲み、女の方は4杯目のミックス海鮮丼を美味しそうに食べている。
「もっと食べたらいいのに、クロロも」
「見てるだけで腹がいっぱいになる……」
「次で最後にするけど」
「まだ食うのか」
「すみませーん!いくら丼2つ!」
「しかも2つか」
「1つはクロロのだよ?」
「勝手に頼むな」
仲睦まじい2人は、まさに美男美女。ため息をついたクロロの方には女性陣が美しさに嘆息をつき、いたずらっぽく笑うセレネの方には男性陣が可愛さに頬を赤らめる。
結局2人ともいくら丼を食べ切り、セレネはふはっと幸せそうなため息をつく。
「……さて」
「ん」
セレネが席で体を伸ばした。その時、肘が湯のみにぶつかり、派手な音を立てて床で湯のみが割れる。
「!大丈夫ですか!?」
「あっ、ごめんなさい……!」
店員が駆けつけ、すぐに片付けを始める。
その一瞬、である。
「お客様、お怪我はーー」
店員が顔を上げた時には2人の姿は無かった。店内の全員が、呆然と残された空の丼を見つめるばかりだった。
ーーちなみに。
その後30分もしないうちに、漁船が1隻、若い男女によって強奪されたというニュースに、全員がまさかと身震いしたとか。
「うーみーはーひろいーなーおおーきーなー♪」
上機嫌で奪った漁船から海を眺めるセレネは、酔って吐くことも無く平然と歌を口ずさむ。
あれだけの量を食べてけろりとしているセレネに、地味にクロロは引いていたが。
「ねぇねぇ、この先に島とかあると思いますー?」
既に賭けで勝つことは無いセレネは、波の音にかき消されないように大きな声でクロロに問う。クロロは少し首を傾げてから、目を細めた。
「……ん」
「おりょ!?」
指さされた先を見据え、セレネはまじかと呟いた。
「うっそぉ、やっぱ海越えちゃう?」
「さて、あそこに待ち人がいるかーーまあ、まず違いないだろうな」
「えー!!」
夕暮れに黒々と影になって見える広い島ーークロロの推測はどうやら当たっていたらしい。
「むう……でも待ち人がいるって決まったわけじゃ……プリン作ってもらいたかった……」
島はどんどん近付き、砂浜で船を止めた。
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211 「殺しますよ?まじめに」→←209 「要約すると、暴走して意識飛んでパァーーン、ってことだね」クロロ「勝手に大実験をするのは昔からだな」「すみませんってばぁ……」
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勿忘草 - 216話の少女(57歳)に吹きましたwロリババa((殴 (2020年6月5日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草 - 212話最高ですね夢主...強い(確信) (2020年6月5日 20時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - 白瀬さん» 早口言葉ですね!!さぁご一緒に!!「ボポボボポボボポばがぶっ」(舌を噛む) (2019年8月29日 17時) (レス) id: d9b557ad09 (このIDを非表示/違反報告)
白瀬 - ボポボって言いづらいよね‥(遠い目 (2019年8月19日 21時) (レス) id: 07b463bee0 (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - 林 香織さん» 香織さん、ありがとうございます!クロロイケメンになってますか!?良かったです!!更新ペースが遅くて申し訳ないです…楽しんでもらえるようにこれからも頑張ります! (2019年7月12日 23時) (レス) id: d9b557ad09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2019年4月7日 0時