あなたを影で守り隊【九井一】 (ページ9)

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3話ページ9

耐え切れずに、ついといった感じだった。

「え？」

まさか話し掛けられるとは思わず、戸惑ってしまう。

恐らくココとの会話を断ち切って私に話し掛けてきたから必然的にココもこちらを向く。

「あ、自己紹介まだでしたね。私、転校してきました星崎奈乃香です！なのって呼んでください！」

「え、あぁ…私は乾A、です」

勢いが良すぎて少しどもってしまった。

彼女は私の名前を聞いて驚いたような顔をする。

「…え？！乾ってことは青宗君が…！」

そこで止まって内緒話でもするかのように小声になりそっと私に耳打ちする。

「留年したってこと？」

思わず私は笑ってしまう。

「違うよ。双子なだけ。」

「あぁなんだぁびっくりした〜」

なんか可愛いな。

そう思えるような言動、仕草。

それが私を焦らす。

ココはこの子のことが好きなのだろうか…好きになるのだろうか。

なんて私が考えている間に彼女は自分の鞄の中から国語の教科書を探す。

しかし戻ってきた彼女の手には何も無い。

「…ごめん！」

私の目の前で手を合わせる。

「そういえば今日授業無くて私も持ってなかった…」

“本当にごめんね”と申し訳なさそうにする彼女を見てこちらが申し訳なくなる。

「全然いいから。元々忘れた私が悪いんだし。」

それに目的は果たせた。というか私の心臓がぐちゃぐちゃにされだけだったし。

こんなことなら偵察なんてカッコつけなければ良かった。

私が自分の教室に帰ろうとした時だった。

「じゃあ一君貸してあげなよ！」

一瞬…もしかしたら私の気の所為かもしれないがその場が凍りついた。