あなたを影で守り隊【九井一】 (ページ11)

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5話ページ11

百均で買ったパンダの可愛いイラストが書かれている付箋に[貸してくれてありがとう]という言葉を書く。

それとお姉ちゃん譲りの不格好なニコちゃんマークも。

教科書の表紙に貼り付けてココの教室まで行ったがちょうど前の授業が移動教室だったのか教室はまだ開いていなかった。

廊下で鍵が来るのを待っている人達の中の1人に声を掛ける。

「ごめん、これ九井君に返しといてくれる？」

「あぁ了解。」

快く引き受けてくれた人に教科書を渡してチャイムがなる前に教室に戻る。

ちょっとホッとした。

ココと話さなくて良かったから。

いやせっかくちゃんと話せる機会だったのかもしれないけど。

などと呑気に考えていた。

そんな時に前から歩いてくるのはココ。

…やばいやばい、いや何がやばいんだよ。

普段は学校でこんなに接触が無いため心の中がざわざわする。

あからさまかもしれないが廊下をガン見しながら横を通り過ぎようとした。

こういう時って普通どうするものなんだろう。

［あ、ココ！教科書クラスの人に渡しといたよ！］

…なんて言ったり？

頭の中でイメトレはいくらでも出来るのに実行は出来ない。

そんな私の葛藤も当の本人は知らないのだろう。彼はこちらに見向きもしない。

やっぱ私の考え過ぎか。

馬鹿らしくなり、意味が分からないぐらい下に向けていた目線を真っ直ぐに向ける。

ココとすれ違う時も特に何も起こらなかった。

「おい」

ココが誰かを呼ぶ声が聞こえる。

いいなぁなんてどこの誰とも分からない人に軽い嫉妬。

「おい聞こえてんだろ。」

ココのこと無視するとか贅沢かよ。てか私ココの声だけハッキリと聞こえるの凄いな。

「Aちゃん！！」

その声と同時に肩に衝撃。

「へっ?!」

全身がビクッとなる。

私としたことが変な声を出してしまった。

などと言ってる場合では無い。

もし私が今頭の中で理解出来ていることと現実が一緒ならココに話し掛けられたということになる。