18 ページ18
JK side
楽屋に戻ると、そこにはAの姿もあった。鼻の頭が若干赤いけれど、涙の跡は綺麗に消えている。きっとヒョン達に隠すためだろうとすぐわかった。
Aと話がしたかった。確かに俺はまだまだ紅一点のあいつのプレッシャーを理解しきれてなくて、薄っぺらい言葉しかかけられないから。殺害予告がきたってことも、本人にしかわからない辛さがあるんだと思うし。でも声をかける前にヒョン達に絡まれ、タイミングを失ってしまった。
本当はヒョン達にもAのことを話すべきだと思ったけど、本番直前に言うのもどうかと思ってまだ言わないでおくことにした。ユンギヒョンは何かに気付きかけてるみたいだったけど。
「……A、大丈夫かな」
メイク直しをされているAを見ながらジミニヒョンが小声で言う。
「大丈夫なわけないよね……。殺害予告なんてきて、ましてやAは女の子だし」
「だけど、本番前にあいつを動揺させたりしてもダメだ。今日、収録が終わったらみんなで話そう」
ナムジュニヒョンがそう言って、俺達は頷いた。
「カムバ一発目、リラックスしていこう。ファイティン!」
「ファイティン!」
全員で掛け声をしてステージにスタンバイする。Aの様子を横目で見たけど、俯いていて表情はあまりわからない。
一瞬声をかけようと思ったけど、踏みとどまった。俺の一言のせいでまたAの気持ちを揺るがせてしまうかもしれない。きっと今、Aは不安定な状態だろう。時間さえあれば、まだ話せたかもしれないのに。
____時間さえあれば、これから起こることも防げたのかもしれない。
317人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
?(プロフ) - ウラツクで一番好きなお話兼一番更新を楽しみにしてるお話です!続きが気になりすぎてはじめてウラツクでコメント残しました!笑 これからも無理せず頑張ってください! (2019年8月23日 23時) (レス) id: 7911c797b0 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - 更新お疲れ様です!お返事嬉しいです!はい!楽しみにしてます! (2019年6月24日 22時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - 更新お疲れ様です!頑張ってください! (2019年6月19日 22時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美月 | 作成日時:2019年6月16日 17時