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「オッパ、どういうことですか?」
ジョングクが出て行ったあと、私はすぐにユンギオッパに詰め寄った。
「部屋を間違えたんだとよ」
「いつからここに……?」
「ラスト歌う前くらい」
全然気がつかなかった。感情をこめて歌っていたら自然と涙が出てきてしまって、それも全部見られていたと思うと恥ずかしい。
「ジョングク、何か言ってましたか」
「お前も聞いただろ、良かったって」
「そうじゃなくて……」
昨日のダンス練習であんなに呆れられて、今日の歌でまたがっかりしたかもしれない。またユンギオッパがジョングクに「良かっただろ」と聞いたとき、きっとまた何か怒られるだろうと思ったのに、ストレートに良かったと言われて嬉しいような拍子抜けしたような気持ちになっていた。
「あとは別に何も。でも集中して聴いてた。プロデューサーも言ってたけど、ラストの声は最高だったしな」
「……ありがとうございます」
オッパがたくさん褒めてくれるのは珍しくて、思わず顔がにやけそうになるのを堪えた。
「お前ら、もうちょっと仲良くしろよ」
ふいにオッパが言った。最近特に悩んでいたことを突かれて言葉が詰まる。
「……別に、仲悪くはないです」
「良くもないだろ。これからずっと一緒にやってくのにそのままでいいと思ってんのか?」
オッパの言うことはいつも正しい。口調は厳しいけど、私たちやグループのことを思って言ってくれているということはわかった。
「……どう接せればいいのかわからなくて。たぶんジョングクは私のことあまり良く思ってないだろうし」
そう言うとオッパの手が額に伸びてきて、パチンとデコピンされた。
「そうやって決めつけて自分から距離置いてたらなんも変わらねえんだよ。1対1で話してみろ」
困ったら相談乗ってやるから、と頭を撫でられる。
確かに、今までジョングクと2人できちんと話すことなんてなかったかもしれない。私たち2人とも人見知りする性格で、ずっとオッパ達と一緒にいたから。
「……わかりました。近いうちに話してみます」
小さな声で言うと、オッパは少しだけ笑って頷いてくれた。
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?(プロフ) - ウラツクで一番好きなお話兼一番更新を楽しみにしてるお話です!続きが気になりすぎてはじめてウラツクでコメント残しました!笑 これからも無理せず頑張ってください! (2019年8月23日 23時) (レス) id: 7911c797b0 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - 更新お疲れ様です!お返事嬉しいです!はい!楽しみにしてます! (2019年6月24日 22時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - 更新お疲れ様です!頑張ってください! (2019年6月19日 22時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美月 | 作成日時:2019年6月16日 17時