愛して恋して ≪アバンティーズ 短編集≫

初キス　*そらちぃ ページ44

「なぁー」

　彼はふと思いついたように声を上げた

　珍しく招き入れてもらったアバンティーズハウスで、私は結局はかどらなかったと言う片づけを任されていた
　
　そうかこの片づけでnekomimiが出て来て、片づけごっこは終盤に向かったのか

　私は返事ともつかないような声を上げるが、彼は気にせず続ける

「Aの初キスってオレ？」

「…は？」

　そういうのは普通私たち二人の家で話しませんか？そんな言葉が頭を一瞬よぎった

　しかし、そんな長い言葉も言える脳をしていないくらいに私は動揺していた

　周りにアバンティーズメンバーもいると言うのに急にどうしたと言うのか

「あ、赤くなった。かーわいー」

「…エイジくん…？」

　もしや彼がお酒でも飲ませたと言うのか、みなまで言う前にエイジくんはちょっとだけね。とおとぼけた顔を作った

　私は全くと少しあきれ顔だ

　酔わせたのはエイジくんだけでなく他のメンバーも関わっているような表情だ

　…大方、私が来ているからそらの新しい一面でも見たいのかもしれない

「はいはい。そらさんが初めてですよ」

　私は彼にそう言う

　いくら少し酔って可愛いそらがいるとて

　……皆の前じゃちょっと、ね

「…あやしーな。えいちゃんとかとなんじゃないの？」

「そら、そんな顔するなら自分で言わないの」

　彼は自分で言って自分で嫌そうな表情を作る

「キスしたら許す」

　上から目線でそう言うそら

　…本当にそらなんだけどな。そしてそれはあなたも知っていると思うのですけども

　私は少しアバンティーズの皆さんを見やるが、どうやら目をそらす気はないらしい

「んっ！」

　彼は唇を付き出し目を閉じている

　寝っ転がる彼に顔を近づけ垂れてくる髪を抑える

　彼は満足そうに目を細めてこちらを見る

「よくできました」

おそろいのもの　*エイジ→←来年は　*ツリメ

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