愛して恋して ≪アバンティーズ 短編集≫

身長　*そらちぃ ページ29

「おれって小さい？」

「んー？」

　どうしたの？そう聞くが、どうやら彼は別に落ち込んでる訳でもなんでもないようで

　単純に気になっただけなのか、彼は普通に首を傾げてこちらを見る

　確か中学校の頃は確かに気にしていた気もしたけど

「…立って？」

「おう」

　そう言って彼は少し気合を入れるかのように声を出して立ち上がった

「後ろ向いて…」

「…え？」
　
　私は少し慌てる彼の肩を掴んでクルっと回すとえー？と声を上げた

　測るのにはそれが早くて正しいと思うんだけど…

　私は彼と背中合わせになる

　そして少し考える。しかしその答えが出る前に彼は口を開いた

「…Aさん。これ誰が測るの」

「……考えてなかったかも」

「バカじゃん」

　そう言って彼は声を上げて笑うと同時に体重をかけてくる

　私は自然と前屈のような格好になる

「Aは頭が弱いなー？」

　少し悔しい

　私は頑張って彼を押し返して、またまっすぐの状態に戻る

　そうして右手で自分の頭の高さを測って彼の背中に当てる

　そのまま彼の背中につけた手をスライドさせて彼の胸元付近までもって来る

「何してんの？」

　そう言って聞く彼を見上げるように見る

　私は少し困った様な表情を作って言う

「…私はここだよ」

　あくまで私の身長は。という話であり、彼の身長は結局分からない

　私は少し申し訳ない気持ちだ

　私よりは大きいと思うと言うのをようは言いたかったのだ

　彼は楽しそうに声を上げて笑った

　そうして私の頭を少し叩くように撫でた

　彼の言葉を聞いて、私も小さく笑った

「まーAより大きけりゃいいや！」

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