雪 *エイジ ページ16
「さむー…」
誰にも聞こえないくらいの小さな声でそう言いながら布団の中でもぞもぞと動く
この特有の冷気は何度か味わったことがある
昨日見た天気予報を頭で思い出しながら、私はそっとカーテンを開ける
「…わっ」
小さな歓喜の声が漏れた
少し曇り空の中、周りの家々には白い雪が降り積もる
朝だと言うのにまだ少し雪も降っている
まだ少し早い時間だと言うのも気にせず私はベランダに出る
まだ寝てるであろうえいちゃん、私はそっと窓を閉めた
部屋着には少し冷たすぎる空気を肌で感じながら私は柵から少し手を出す
暖かい手の上に乗った雪はすぐさま解けてしまう
しばらく見とれていると、ガラガラ、と聞き覚えのある音を鳴らした
「…なにしてんの?」
片手に私のパーカーを持って彼はお腹をかきながら私の隣に来る
そうして優しくパーカーを私にかけてくれた
「なんでパーカー…」
「さぁなんでだと思う?」
「ありがと」
…外に出る前に私の姿を見たんだろう
「えいちゃん、雪だよ」
「ほんとAは雪好きだよね」
彼は大きなあくびをしながらさっき私がしたように柵から手を伸ばして雪をすくう
「…あとで遊びに行こうよ」
まだ眠いのか彼は少し考えた後
「寒いじゃん」
と小さく呟く。私は、えいちゃんに向けていた眼を雪に向けなおす
「そっかぁ…」
えいちゃんはきっと今日も動画取りに行くんだろうし
体調を崩させるわけにも行かないか
そういって少し飽きられる理由を探して頭の中で溜息をつくと
彼は大きな手で私の頭を撫でた
さっきよりは少し大きな声で、彼は開いた手でまだ眠そうな目をこすりながら言うのだ
「…ちょっとだけなら付き合うよ」
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そーにゃ(プロフ) - あやもちさん» コメントありがとうございます!短編なのに話が繋がってしまっていいか不安でしたがそう言ってもらえると嬉しいです!こちらこそ最後までお読みいただきありがとうございました!! (2017年8月1日 11時) (レス) id: d0b511bd78 (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(プロフ) - 素晴らしいエンドでしたサイコーです(早口)←ありがとうございました(*´∀`)♪ (2017年8月1日 2時) (レス) id: 6e3c6d7283 (このIDを非表示/違反報告)
そーにゃ(プロフ) - 三谷さん» コメントありがとうございます!短編集でありながら最後の話まで繋げると言うのも一つのテーマでした。気づいてくれて嬉しいです!そう言ってくれると嬉しいです!また機会がありましたら小説を書いていこうと思いますのでまたどこかでお会いしましょう! (2017年5月14日 23時) (レス) id: 794bc085aa (このIDを非表示/違反報告)
三谷(プロフ) - 毎回読むのがすごく楽しみでした!最後の結婚の話まで全部繋がってたんだなぁと思うとすごくキュンキュンします!またそーにゃさんのアバンティーズの小説を読めるのを楽しみにしています(´∀`*) (2017年5月13日 23時) (レス) id: f63b48d130 (このIDを非表示/違反報告)
そーにゃ(プロフ) - みなみさん» リクエストありがとうございました。喜んでもらえて良かったです。また何かリクエストがありましたらよろしくお願いします!今後とも短編集をよろしくお願いします! (2017年4月28日 20時) (レス) id: 794bc085aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そーにゃ | 作者ホームページ:http://puchiamatheater
作成日時:2017年4月2日 3時