泥姫の傷共有 【赤髪の白雪姫】

29　鈍感 ページ31

「だぁぁ！もう！！みんなみんな自分勝手だわ！」

「オレも〜？」

　城下町が見渡せるこの城はいつも私を縛り付ける

　綺麗な夜景に叫ぶ私とまだ一緒にいるオビ

「…オビと私以外とか。丁寧に言った方がいいかしら？」

「ごめんごめん。怒らないでよお姫さん」

「別に怒っちゃいないわよ！！もう！」

　身を固めた方がいいとか、城のメンツのためにとか、全部全部知らない

「いいわ。断ればいいんだもの。あぁ早く城を出なくちゃ…」

「お姫さんさっきからそればっかり」

「パーティーまで毎日言い続けるから覚悟してちょうだい」

「うーわめんどくさ」

　素直にそういうオビは、それでも何故か隣にいてくれる

　この人のことはやっぱりよく分からない

「ならゼンにぃのところに戻ればいいでしょ？おバカ従者」

「今行ったら…。お姫さん一人で夜の街に繰り出しそうだし」

　彼は結構私のことを分かっているらしい

　…まぁ夜の城下町には遊びに行ったことないけど

　隣の彼を横目で見る

　彼はすぐに私の視線に気づいてこっちを見て笑う

　私はそんな彼を見て一つため息をついた

「…オビ、もしかして心配してくれてるの？」

「お姫さん、人に心配されたことないの？」

「どういう意味…」

「もしかしなくても心配してるんだけど？」

　そう言って彼はまた少し笑った

　…私はどうやら、人の感情に鈍感らしい

(…ありがと)

(はい、どーいたしまして)

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