泥姫の傷共有 【赤髪の白雪姫】

24　名案 ページ26

久々に部屋で一人だ

　カズラはなんだかゼンにいに様があると出てったし
　
　オビは…まぁ、今のところ周りにいないだろう

　珍しく静かな部屋は心地がいい

　街に出るのも楽しいけど、家も落ち着いていい

　部屋にカズラがいなければなおよし

「さ…何しようかなぁ…」

　読書か、それか…

「お姫さーん！」

　大きな声を上げて、大きな音を立てながらドアを開けて

　…はい、一人の時間は終了したよう

「オビ…」

「すっごい呆れ顔」

「ここでしか使えないくらいにとっておきの呆れ顔よオビ」

　彼は楽しそうに笑いながら私の前に立った

　彼が楽しそうであればあるほど私は呆れるんだけれど

「なぁお姫さん。今度さ、パーティーがあるって聞いたんだけど」

「言ったわね。婚約者との」

「…あれ、結構すぐって聞いたけど」

　…彼は笑ってそう言う

　そんなの…聞いてないわ

「すぐってどれだけすぐ？誰に聞いたの？妄言？」

「落ち着いて落ち着いて」

　そう言うオビの両頬を引っ張る

「いひゃいいひゃいおひめはん」

「こ、れ、が、落ち着いてられるかってのよ！」

　誰も彼も婚約者と言うくくりが、私のためにパーティーを開くと言うことが

　どれだけ私にとって残酷なことか分かってないんだわ

　手を放すと彼は自分の両頬を労わるように両手でさすった

「ゼンにいとカズラのところに行ってこないと…。」

「お姫さん！俺いいこと思いついたんだけど！」

「…ほんと？」

「おひめはん…。それ気に入っはの」


(…ごめん。柔らかいなーって)

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