泥姫の傷共有 【赤髪の白雪姫】

9　城壁の上にて ページ12

貴)…凄い。可愛い。

　我ながらナイスセンスだと思う

　…仕立て屋を丁重にお帰しすること。カズラにそう命じたのでおそらく今日はもう追いかけてはこない
　
　一度出たいと思ったら最後までやり通すのが私

　…黒タイツ

貴)こ…こんぐらいは守っておこうかな

　いそいそと足を通した

・

　ふたたび木の下

　同じ木に手をかけた

　この木が一番城壁と近く、なおかつ高さも十分だからだ

　城壁が高くなってからは違うルートで城を出てたけど
　
　やっぱりここが一番人にばれにくいのだ

　
　あたりに人気はなく。いや、正式には見張りの方々はいるんだけど

　私はゼンにい達のおかげでそういう場には慣れきっている

　ようは見つからずに出るのは朝飯前。ということでして

　
　今度は彼に驚かされることもなく、無事に木を登り終えることが出来た

　…が

オ)あっお姫さんやっぱり来たんだ

貴)…おっオビさん？

オ)オビでいいって、それよりまた城を出るの？

　この人といるとぱっぱと話が進んでく

　それよりも何で従者が木の上にいるんだ。さっきも木から出てきたし

貴)従者って普段から木なんて登るもの？

オ)王女って木ぃ登るもん？

貴)ま、まぁいいじゃない

　あ、敬語もいいよ別に。そう言うオビ

　…話が出来てるんだかできてないんだか

　とにかく!!と話を戻そうと声を上げた
　
　ダラダラしているとカズラが寄って来る

貴)私は、城を出るのッ邪魔しないで

　強くそう言っても彼はへこたれずにえーと笑いながら声を上げた

　髪ぐらい結っておくべきだった。この長さだとやっぱり登るには邪魔くさい

　今度は高めに結ぼう。そう学んだ


　オビから逃げるようになんとか城壁に移った所で…

　ようやくその高さに気づいた

貴)…けっ…結構な高さで…

　いつもの道で行けば良かったかな…はは

　一人でその高さに怯えていると、身軽に体を飛ばして隣に立ったオビ

　そして謎の視線が注がれる

　…

貴)なっなに

オ)下してあげよーか？

　… … …


(ねっ願ってもない申し出!!)

(喜びが顔に出過ぎ。素直な子だな)

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