泥姫の傷共有 【赤髪の白雪姫】

1　護身術 ページ2

オ)あーぁ…

　お嬢さんや主の近くにいれば

　きっと何か面白いことがあると居座ったけど…

オ)案外暇…

　主が忙しければ忙しいほどオレはやることないし

　お嬢さんとは面会禁止だし

　…まぁオレが脅したのが悪いんだけど


　と、少々木が揺れた気がした

　ちょっと下を見ると

　綺麗なドレスを着た女が木に手をかけていた

　その格好は明らかに木登りをするような人ではないことを物語っている

　少し面白そうだなと

　期待半分、不安半分でオレは木から下りた

・

？)…お嬢さん

　そう声がした

　気づくと彼は近くにいた

　上から下までほとんど隠れている

　まるで怪しむ素材そのものみたいな人

　…でも、覗く目からは不思議と敵意はない

貴)っ!!

　いきなりの声に驚き、一歩下がる

　反射で護身用のナイフも構えた

　彼はやれやれと言うように手をあげた

？)そー構えないでよ。んーそーだなー…

　彼は何て言えば私が納得するか考えるように腕を組んだ

？)あっ。オレ主の…いや、ゼン殿下の従者だよ

　…そんな分かりきった嘘を言うのね

　私はゼンにいの妹だ。それぐらい把握しているつもり

貴)…そう、だったらこのナイフ。よけないでよ…ねっ!!

　木から下りてくるくらい身軽な人

　避けるくらい造作もないことでしょう？


　でも、避けたら。私はあなたを信じることはできない
　
？)お嬢さん…手が震えてるよ？

　次の瞬間目に入ったのは

　彼の腕から血が流れているところ

貴)…え？


(…け、結構痛いな)

(もしかして本当に従者!?)


　

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