降谷さんの愛情表現は裏返し。【降谷零/安室透】

手放した ページ49

ぐぐ、とさらに手の力が強まり首が圧迫された。


力が出せない私はただ耳元から焦った声色の一ノ瀬さん、と言う声を聞いていた。



「くく、まぁ自ら殺そうとは思わないからな。落とすだけで勘弁してやるよ、よかったなぁ？」





挑発気味の男はそれだけ言った。




次の瞬間。





私の視界はぐるりと周りそのまま下に落ちていく。



外だからだろうか。ひゅぅ、と気持ちいい風が私を強くうちつけた。



最後にぐしゃりと聞こえた気持ち悪い音を聞いてから意識を手放した。





.









.









降谷side




「...は？」



キーボードの打つ手がピタリと止まる。





部下は深刻な顔をしてもう一度告げた。




「一ノ瀬さんが病院に運ばれました。」




いつも通り仕事をしていた時に突然の衝撃に見舞われる。



「何があった」


「今日の例の犯人を一ノ瀬さんが追っていたところ、階段から落ちたそうです。犯人はその後下にいた残りのものが捕まえましたが、一ノ瀬さんが重症で...」



「病院を教えろ。」




「はっ」





堪らなくなって勢いよく立ち上がり教えて貰った病院に向かう。




だから無理はするなと言ったのに。



重症だと大事になってくる。



とにかく今は一刻でも早くAの所へ向かう。

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