降谷さんの愛情表現は裏返し。【降谷零/安室透】

そんな貴方が好き ページ34

降谷side









「っは、？」









今まで生きてきたなかで、こんな声は出したことがなかった。


だって、ここまでに驚くことなんてなかったからだ。





今、顔を赤く染めて、それでも自分の方を見ているAは、もう逃げまいと何か決心したような顔だった。






「だから、私は死にません。どんなに嫌われようとも貴方のとなりにずっと私はいます。私にも、少しくらいっ、背負わせて…ください……！」



最後の方で涙をこらえながら言うA。






「だめ、ですか」


最後に振り絞った声。力が抜けたAは、机に、珈琲を置いて、俯く。






俺は、一体何をするべきなんだろうか。




自分が背負っているものは日本だけじゃない。たくさんの人の思いだってたくさん背負っているつもりだ。



もちろん、その中にもAはいる。







昔のこともあってか大事な人はもう失いたくない。




もう散々だ。





だから、今度は。




Aだけは失いたくない。






ゆっくりと、Aに近づいて、頭に手を乗せた。








素直じゃない俺は、




「あぁ。お前のことは嫌いだ。」


それだけ言うとAはあからさまにショックを受けたような顔をした。


「っでも、この前はそうじゃないって、言ってました。」



「でも今さっきお前は自分のことは嫌いですよね、って言ってたじゃないか。」







「……うるさいです」








「でも」






「………？」





「俺はもうとっくにたくさんのものを背負ってる。だから、今更それを背負わせてくださいなんて無理だ。けど、Aも、背負ってるものは、あるだろ？」





「背負ってる、もの」







「俺は、それを必死になって背負おうとしているAが好きなんだ」









「だから、Aはお前が背負っているものを守りとおせ。そんなAが、好きなんだ」







「……さっきから、嫌いだとか好きだとか、矛盾してます。」





「好きなように考えるといい」





「……私は、好きですけど」







「急に素直になるのはやめてくれ」

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