降谷さんの愛情表現は裏返し。【降谷零/安室透】

涙の訳を俺は知らない ページ15

降谷side






からん、と店のドアが開いた。





そこにはAがいて、お互い顔を見合わせていた。







どうにか安室透と知り合いということで話をすすめてもらっているが、久々に楽しく俺と話すAを見て、あぁ、懐かしいな何て思ってたりもする。







梓さんとは恋愛話で盛り上がっていてハムサンドを作っているときもこっそり聞いていたりもした。




Aに好きな人がいると知ったいるときはまるで鈍器で後頭部を叩かれたような感覚に陥った。




自分のことしか考えていなかったが、Aにも好きな人がいる可能性だってあった。







そう思うとAが好きになった男が憎くなってきて。







Aが食べ終わるまでずっとモヤモヤした気持ちが俺の心を支配していた。





そのせいもあってほぼ強制的に車でAを家まで送ることになった俺はまだイライラがおさまっていなかったこともあってこの間のことについて謝られたがそっけない返事をした。






あれは、俺のせいなんだ。Aは仕事もきっちりやる人だし、好きな人がいても自分の仕事をちゃんとやる人だ。






なのに俺は冷たい態度をとってAから距離をおく。






いつまでも下を向いて隣に座っているAはどこか弱々しく感じてしまう。





「おい。」






「は、はいっ！」






「そういえ…………A？」




思わず名前で呼んでしまった。






それくらい驚いたのだ。







ビックリしてこちらを見たAの目に涙が溜まっていたから。









「あっいや、すいませんっ！これは、その」







「いや、いい。話すな。あとで聞く」





「後でって…………いいです」







「とりあえず着くまで待ってろ」









それ以来Aはなにも話さずに時折鼻をすすって静かにポタポタ服に染みを作っていた。







何が、何がそんなにAをこうさせるんだ。




俺には全くわからない。

【番外編】あ、そっちの意味ですか→←私には分からない

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