がんばるおじゃんぷ。3

ゆうりくん。目眩と気胸。 ページ14

知念side



家のソファーからトイレに向かうたった数メートルの距離。


それだけでも、僕は、


知｢…っ、はぁ……｣


どれだけの時間をかけて移動するんだろうか。



目の前がぐるぐるして前が見えなくなる。

前も後ろもよく分からなくて体がぽわぽわとゆう事を聞かない。



こんな目眩が何週間も続いている。



初めは僕自身すら気にせず過ごしてた。

でもお仕事の現場でも目眩は待ったなしで襲ってくるわけで。

11年も一緒にいる人にそんなの隠し通せる訳もなくみんなに心配されて、
寝不足？とか、ちゃんと食べてる？とか言われたけど
移動中は爆睡、ケータリングもぱくぱく食べてるのを見てきたみんなは、結局、

｢それは無いか｣

この結論に至ってしまう。





知｢はぁ……いつ治るの……｣



今日はスクール革命の収録だけ。

マネージャーに通常よりもセーブしたスケジュールを勧められたけどそれは僕のプライドが絶対に許さなかった。

ただでさえ、本調子じゃないことに憤りを感じているのに僕の為に調整をするマネージャーの事を思うと罪悪感でいっぱいになる。


かといって病院に行ってちゃんと検査を受けるほど僕だって暇じゃない。




目眩がすること自体も、みんなに心配かけることも、仕事が思い切り出来ないことも、


気づかないうちに“ストレス”として僕の体に溜まり続けてた。





知｢ちこく、…しちゃう……｣


マネージャーが迎えに来るまで時間が無い。


鉛のような体を引きずって今日も、“元気”という仮面をして出かけるんだ。

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