プライマル-Changmin-

始まり ページ10

刻々と色を変える観覧車と
海が見えるところまで来た。
イルミネーションが水面に反射して
とても幻想的な光景だった。
片手はずっと繋がれたままだ-


cm「綺麗ですね、久々に見た」

　「うん・・・」


なんだか胸が重くなる・・・
純粋にただドキドキできない。


前の後輩のコの時もこんな事あった。
飲み会の帰り、ふいに手を繋がれた。
すごく嬉しかったけど
結局、私を好きにさせる為の
アクションだったに過ぎなくて。

そんな事があってから
付き合ってもないし、好きともなんとも
言われないうちからっていうのは
なんとなく構えてしまう。

一人舞い上がって、あの時みたいな思いは
もう二度としたくない。

チャンミンは仕事もできて既に周りに
認められてるから私に媚びる理由もないし、
あのコとは全然違うと思うけど・・・

今日はこんな場所だし、
きっと彼だってムードに流されてるだけ。
ただ何度か飲みに行ったりしてるから
気兼ねないだけ。
自分に何度も言い聞かせる。

いろんな事を考えていると
目の前の美しい風景も全然鮮やかに
見えなかった。

周りにはカップルがちらほらいて、
私たちと同じように手を繋いでいたり、
寄り添いあって夜景を楽しんでいる。

私たちも普通のカップルと
思われてるだろうけど
ちっともHappyな気持ちにはなれなかった。
こんなに素敵な場所で
女性ならきっと誰もがドキドキする
シチュエーションのはずなのに・・・



cm「ちょっと肌寒くなってきましたね。
そろそろ帰りましょうか。」

「そうだね、もういい時間だね・・・」

意識していると思われたくなくて
なるべく普通に会話する。

駐車場の車に着くまで
彼は手を離さなかった。



帰りの車中は何もなかったみたいに
自然な感じで話をして
うちの前まで送ってもらった。

「今日はホントにありがとう
　すごく楽しかったです、
　それにごちそうさまでした！」

降りようとシートベルトを外した

ー その瞬間


彼が私の方を向き、左手を掴んだ。
彼の方を向かされる。

cm「Aさん」

「は、はいっ？」

驚きすぎておかしな声が出る。

cm「今日は長い時間一緒にいられて
　 嬉しかった」

彼の顔が目の前だ。
さっきまでの笑顔ではなくなっていた。
今まで見たことのない真剣な表情。
声も低い。

外灯に反射して彼の瞳が鋭く光って見える。









cm「俺、Aさんが好きです」









「・・・・・・・・・・・・・ええっ？？？」

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