打ち上げ ページ40
かんぱーい！！
たくさんの人の声と、グラスがぶつかる音がお店に響いた。
今回は※「探し物はなんですか」という作品の打ち上げ。
監督にプロデューサーさん、衣装や音声のスタッフさん、そしてもちろん演者側の人たちもほとんど総出で参加している。
初めて見る人も、よく見る人も、色んな人のことを知りたい。
会場は少し大きめの居酒屋を貸し切って、使わせてもらっている。
「ほら、座長！挨拶！」
「えっ、私！？」
突然、監督とマモさんが悪ノリして私が注目されるように仕向けてきた。
そしてその通り私に視線が集まって。
「さっき乾杯したじゃないですかぁ…！」
「いやいやそれでも座長の挨拶は…ねぇ？」
「ねぇ？」
「沙織ちゃんも悪ノリしないで！？」
共演者さんの中にはお相手役の宮野真守さん、私の妹役の早見沙織ちゃん、そしてマモさんのライバル役の良平さん…と、かなり豪華な面々が揃っている。
うぅ…と良平さんに助けを求める視線を送ると、まるでドンマイとでも言っているような笑みを向けられた。
裏切り者ォ！！
「うっ…じゃあ…『探し物はなんですか』最高ー！乾杯！！」
かんぱーい！！！！
思い切って大きな声を出すと、それに合わせてか皆さんも大きな声で乾杯、と言ってくださった。
ふぅ、と一息つくとマモさんがこちらへやってくる。
「おつかれ三倉ちゃん」
「……もうマモさん嫌いです…」
「えぇっ！？ちょっと良平さんおたくの三倉ちゃん冷たいー！」
「いやぁ、うちの三倉正直なんで」
「……あれ、悪口！？」
「ははっ！まぁ飲もう飲もう」
途中で呼ばれた良平さんはマモさんと肩を組んで監督の方へと行ってしまう。
小さく手を振りビールを飲むと、肩をトントンと叩かれた。
「Aさん」
「ん、沙織ちゃん！おつかれ」
「ふふ、お疲れ様です」
相手は沙織ちゃんで、カクテル片手に笑っている。
白を基調としたワンピースがとっても似合ってていい感じ。
「人いっぱいいるねー」
「こんなに沢山の方たちがあのアニメを作ってるんですよね…」
「沙織ちゃん…あなたほんとにいい子だねぇ」
「えぇっ、なんですかぁ」
真剣な顔をしながらしみじみと言ってのけた沙織ちゃんは、本当に流石だと思う。
「あ、そうだ写真撮ろう？」
「もちろんです！」
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作者名：むぎ | 作者ホームページ：
作成日時：2021年9月28日 23時
