入学編 第三話 ページ5
｢統家の奴が普通科のはずないだろ｣
｢悪いが俺はお前達と違って忙しい身なんでな｣
はぁ、神威でとぼ。いや、どうやらとばなくてもいいようね。
｢何をしている!場合によれば、罰が下るぞ!｣
｢けどよ一条。普通科の奴が統家の次期当主だって嘘を言っているんだよ!｣
｢いや、嘘ではない。俺は師族のパーティーであっているし、現当主直々に紹介されている｣
｢嘘だろこんな奴が｣
嘘じゃないんだよね〜。
「ならば、模擬戦をすればいいのさ」
「模擬戦？」
「あぁ。其れならば、実力もわかるし、九校戦出場も考えられるしな」
「はぁ。面倒なんだけど？一条将輝。そこの所はわかっているのか？」
「済まないが、時間をもらう事になるが良いか？」
「仕方が無いな。良いよ、ただし10分」
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外で試合をすると見世物のようになって人でごった返してしまう恐れがあるので、いつの間にか生徒会と顔合わせをしていた吉祥寺が生徒会に申請を出して演習室の一つを借りて行なうことになった。
「秋夜兄様。どう戦われるのですか？」
そう水波が聞いてくるので、
「精霊魔法で即座に片付ける」
そう答えつつ、試合の準備をしている。
秋夜は愛用しているアリスシリーズ万能型ＣＡＤ『ルシファリア』を手に立ち上がった。
その直後。演習室の扉が開いて一人の女子生徒が入って来た。
水尾佐保だった。
「待たせたね」
「水尾先輩？ どうしてこちらに？」
「一年同士の諍いは毎年の話だけれど、統家の次期当主が試合をするって聞いたから審判を兼ねて観に来たんだよ」
「そうですか……」
好奇心やら期待やらと様々な眼差しを向けられて、さすがの秋夜も盛大な溜息をしていた。
秋夜とＡ組男子生徒が所定の位置に立ち、佐保がフィールドの外の中央に立った。
秋夜が立つフィールド側の壁際には、沓子と水波。
男子生徒が立つフィールド側の壁際には、彼のクラスメイト達と愛梨と栞。
そして佐保の後ろの壁で控えているのは、将輝と吉祥寺。
緊張感が漂う中、佐保が凛とした口調で仕切った。
「ルールを説明する。直接攻撃、間接攻撃問わず相手を死に至らしめる術式、回復不能な障碍を与える術式、相手の肉体を損壊させる術式は禁止。ただし、捻挫以上の負傷を与えない直接攻撃は許可する。勝敗はどちらかが負けを認めるか、私が続行不能と判断した場合に決する。説明は以上だけど、何か質問は？」
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作者名：*0608 | 作成日時：2021年9月26日 11時
