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8話 ページ9

千がいるってことは、あいつもいる。
落ち着け、私。鉢合わせしなければいい。
私の仕事はなんだ。私は、アイドルを輝かせるのが仕事だ。

気合いを入れる。
えーと、虎於はシャドウを薄く入れて色っぽく……色っぽく……。


「……A、トラに時間かけすぎじゃない?」

「今日は配色少し変えるから。あ、巳波も少し変えるわよ。トウマと悠はいつも通り」


悠は「ふーん……」と呟いた。
配色を変えるのは、パフォーマーの二人の顔を少しわかりやすくするため。

ŹOOĻは四人グループだ。なら、四人が目立たないと。


仕事に没頭しよう。空と海のことを考えよう。
よけいなことは考えないで、やるべきことを。


携帯が鳴る。私のスマホだ。
音楽があらかじめ入っている機械音に、悠は驚いた。


「なんか歌手の曲とかないの!?」

「ピアニストの音楽ですらないですね……」

「ってか放置かよ!」

「この仕事やりはじめたら、もうお腹いっぱいになったの。ピアニストとかも。 連絡、多分千じゃない? 放置でいいわよ、放置で」



悠は呆れ、巳波はため息を吐き、トウマは苦笑いをした。

私は手を動かした。

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作者名:通りすがり | 作成日時:2019年7月8日 9時

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