24話(過去) ページ25
私が中三になり、受験勉強を頑張る頃。
兄さんはバイトとか千斗を養う合間を縫って、私に勉強を教えてくれた。
夏休み。
夏期講習が終わり、兄さんのとこに行こうと思った。
スーパーに寄ってから行こうか。
「あ、A」
「千斗」
たまたま。スーパーに千斗がいた。
なんか似合わないなぁ……。
……頬が赤い。女の人に叩かれたのかな。
「買い物?」
「うん。まあ……」
「……素麺でいい?」
「うん」
叩かれたことには触れない。
プライベートだし。
ああ、でも、なんだろうなぁ。
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兄さんはバイトで遅くなるみたいで、私と千斗だけで素麺を食べた。
夜といえども夏。
蒸し暑い。熱帯みたい。
「……A」
「なに?」
スッと千斗の白い腕が伸び、私の後頭部を掴んだ。
何が起きたかわからなかった。
いきなりだったし。
ただ、熱い。千斗の顔が近い。
離れるのが、名残惜しい。
「……否定、させてください」
「むり」
だって、違うから。
これは違うから。私のこの気持ちは違うから。
「……曲、できなくて。気分転換に女の子をナンパしたまではよかった」
……なんの話だろうか。
「"Aと違うなぁ"って言ったら、叩かれた」
頬赤かったのはそれか。
「……A。一目惚れだった。……ねぇ、付き合って」
……否定、したいのに。
違うって、言い聞かせたのに。
キスと千斗の言葉で、もう溢れ出てきて、止まらない。
「……私でいいの? 千斗」
「うん」
帰って来た兄さんに報告すると、兄さんは千斗の両頬をつねった。
……千斗、ほっぺすごいのびるんだ……。
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作者名:通りすがり | 作成日時:2019年7月8日 9時