20話(過去) ページ21
兄さんが「一人暮らしをしたい」と言った時、私も兄さんについていきたかった。
父さんの再婚相手とその連れ子と過ごすのは、少し気まずいから。
でも、そんなのはワガママだ。
だからたまに、兄さんのとこに行って、泊まっていた。
父さんもそれは了承してくれていた。
ライブ会場はかわいい服を着た人が多くて、女の人が多かった。
私は兄さんに言われた場所……ステージの近くにいた。
兄さん曰く「何かあったらわかりやすいから」らしい。
『こばんは、Re:valeです』
兄さんがステージに立った。
隣にいる、無愛想な人が多分、ユキさん。
歌っている姿はかっこよくて、曲もすごく良い。
……でも、ユキさんは、なんと言うか……。
硝子細工のような人だな、と思った。
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「お疲れさま……」
ライブ後、兄さんに呼ばれて楽屋の方へ向かった。
「うん、ありがとう。どうだった?」
「か、かっこよかった……。あの、サビのギターがすごくかっこよくて……」
「ほんと……!?」
「!」
私は肩を跳ねらせ、無意識に兄さんの服の袖を掴んだ。
兄さんは苦笑いしている。
「千、俺の妹を怯えさせるな」
「万の妹……? ……あ、似てる」
「近い!」
急に近付いてきたユキさんを、兄さんが引き剥がした。
「……万って、シスコン?」
「やかましい、悪いか。ちなみにAはブラコンだ」
「シスコンなんだ……」
……なんだ、このやりとり。
いや、私はブラコンっていう自覚あるからいいけど……。
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作者名:通りすがり | 作成日時:2019年7月8日 9時