2話 ページ2
「子供……?」
「メイク……? 女優じゃなくて?」
御堂くんが不思議そうに私を見る。
亥清くんは混乱しているようだった。
「一応私、23歳だし。双子の子供がいるの。たまに仕事場に連れてくることもあるけど、邪魔にはならないわ。社長の許可もある」
子供が心配。
でも私の夢だったから延長保育を利用してでも、プロでいたかった。
そんなワガママを、夢を見せるのが仕事の彼らに言うのは失礼だ。
……使い捨ての夢だけど。
「5時以降の仕事が入る場合は午前中いないから、そのつもりで」
「その間、お子さんは?」
「親族に任せるけど? とりあえず、すぐ仕事あるでしょ? 化粧品のアレルギーは? いつも使ってる整髪剤とかある?」
一人一人、全部聞いてメモを取る。
毎回必ず私は聞く。
そして、彼らに合うもの、合わないもの。それらを脳内検索する。
「……じゃあ、亥清くんに合わせてメイクするわね。一番若いから、あまり肌いじめちゃぁ……ね?」
緊張させないように微笑んでみせると、彼は顔を赤くした。
「……?」
「……美女、なんだがなぁ……」
私が首を傾げると、御堂くんは大変残念そうに呟いた。
「あんた、なんで裏方みたいな仕事してんだ?」
「……それ、言わなきゃ駄目かな? 狗丸くん」
「……トウマでいいよ。専属だし」
「そう。で、トウマ、言わなきゃ駄目かな?」
「極端だなぁ……」
よく言われる。
そう答えたら、4人は苦笑いした。
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作者名:通りすがり | 作成日時:2019年7月8日 9時