先輩が私を好きすぎている件。【fw】

story20◇ ページ21

「そういえば日奈森ちゃんってふわっちのこと名前で呼ばんよね」

「へ？」


いつも通りの昼休み。もう当たり前のように屋上に集まりメッシャーズと私でご飯を食べる。
先輩はただいま呼び出しくらい中で実質メッシャーズ(先輩抜き)と私だけ。いやもうそれはメッシャーズとは言わないのでは？


「俺の事は黛先輩って呼ぶよね明那は唐辛子だけど」

「あれ、1番まともじゃないの俺？」

「唐辛子先輩いいじゃないですか。可愛いし」

「えっ、やだ、女の子に可愛いって言われちゃった」

「うわぁ…」

「なんだよその反応！！」


うるさい唐辛子先輩をスルーし考えてみる。たしかに先輩のこと名前で呼んだことない！一応彼女だけど…やっぱり一回もない！


「いつも先輩だけだし、なにか理由あるの？」

「理由……アレルギー？」

「なんの？？」


先輩だけはどうしても名前呼べないんだよね。私にも分からない。


「俺の事三枝先輩って呼んでみて！」
「唐辛子先輩」
「変わっとらん！」
「あれ、私さっきちゃんと言ったはずなのに…！」
「え、嘘やろ？あえ…？」
「嘘です」
「嘘かい！」


「じゃあ練習してみよう。俺の後に言って」

「は、はい！」

「ふ」
「ふ」

「わ」
「わ」

「み」
「み」

「な」
「な」

「と」
「ぽえ」

「…よし」


「待って待ってまゆ？どこがよし？」

「言えない！！」

「日奈森さんは不破湊アレルギーなんだよ明那」

「えぇ？これ俺がおかしいんか？あれぇ」


心の中なら言えるんだけどなぁ。不破みなぽえ。あ、むりだ。先輩つけないといえねぇや。


「まあ、2人のペースでいいと思うよ」

「黛先輩…」


やっぱりこの人イケメンだ。理想の彼氏像。


ｶﾞﾁｬ


屋上の扉が開く。丁度呼び出しが終わったらしい。でもなんだか暗いような…。


「今、なんかAちゃんがまゆを理想の彼氏像って言った気がする…」

「ぽえ…」




こわ。

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