桜の雨【ONEPIECE】×【鬼滅の刃】

其之拾漆 ページ18

――夢主side――


「まだ怪我は治ってないから安静にね」

「はい」


起き上がるだけで痛かったから大丈夫です。
絶対安静にしてる。
私が笑顔でありがとうございますと言うと美人さんはシュンとして俯いた。


「……隊長たちとグリスを助けてくれたそうね。ありがとう」


グリスの件を聞いていたらしい。
当たり前か。


「そんなお礼を言われるようなことは…本当は殺さずに助けられたら良かったのに」

「いいえ。きっと貴女が止めてくれなかったら皆死んでたかもしれない」


だから、ありがとうと再びお礼を言われる。
彼女が感謝してくれることはとても嬉しいし、悲しいけど助かったという匂いがするから嘘ではないし、でも…


本当に彼を殺すことが正しかったのだろうか。


戦う前に彼の本当の気持ちに気付いてあげられてたら、殺す必要もなかったんじゃないか？
確かに"仲間"を、"家族"を彼は殺して食べてしまった。
だけど、死ぬことが必ずしも償いになるわけじゃない…もっと他に…


「グリスを殺したことに罪悪感があるかもしれない…でも貴女はその分大勢の人を救った」


美人さんが頭を撫でてくれる。
手に何かが落ちてきて冷たい…自分はいつの間にか泣いていたらしい。


「辛い想いをさせてごめんなさい」


美人さん…ごめんなさい、ありがとう。ありがとう。
クヨクヨしてちゃダメだよね。しっかりしなくちゃ。
逆にグリスに怒られそう。ダメだ。

涙を拭って両頬をバチッと大きな音がするくらいの力で叩く。
シャキッとしろ。しっかりしろ。
「ありがとう」と笑ったら美人さんも笑い返してくれた。


そういえば…技を使った時、なぜ本当に凍ったのかしら…。
自分の中で呼吸のイメージはあっても、実際に水か出たり火が出るわけじゃない。

それなのにあの時咄嗟に頭に浮かんだ“氷の呼吸”を使ったらイメージだけでなく、本当に氷が具現化して刀身すら氷のように冷たくなっていた気がする。

なぜなの…？
一体、何がどうなっているの？

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