個性把握テスト ページ3
体操服を片手に、女子更衣室へ向かっていると、ピンク色の肌の女の子と、制服だけが浮いている女の子に話しかけられた。多分、個性が透明人間か何かなのだろう。
「ねえねえ！名前、なんていうの？」
笑顔で話しかけられて、私も自然と頬が緩む。
「雪降、雪降Aだよ」
よろしくね、と手を差し出すと二人に手を握られた。
ピンクの子が芦戸三奈ちゃん、透明の子が葉隠透ちゃん。呼び捨てでいいよ！と言われたので私も名前で呼んで、と伝える。
友達ができるか心配だったものの、これなら心配いらなさそうだった。
更衣室に着いて着替えると、みんなで自己紹介をしながら歩く。無事みんなの名前も覚えられた。
仲良くなれそうで、これからの学校生活が楽しみだ。
グラウンドに到着すると、焦凍が立っていたので迷わず横に並ぶ。
「あのね、クラスの子と仲良くなれそうなの」
焦凍に話しかけると良かったな、と微笑む。嬉しくなって、つい地面を凍らせてしまうと、焦凍が溶かしてくれた。個性を制御できるようにしなきゃ、意気込むようにそう言うと焦凍はがんばれ、と応援してくれる。私はやっぱり、この幼馴染が大切だ。そう、再確認して、焦凍の手のひらを緩く握った。
「個性把握テストォォ！？！？」
クラスみんなが揃って、先生に言われたことに驚いて、みんなの声が広いグラウンドに響き渡った。かくいう私も叫んだうちの一人。だって、入学初日で入学式もなしなんて。でも、個性を思いっきり使えるんだ。
三奈ちゃんが面白そう、と騒いだ時だった。相澤先生がおもしろそう、かと復唱する。
「よし、じゃあ最下位は見込みなしと判断して除籍処分にしよう」
クラスがどよめく。雄英高校が自由な校風と言ったって、まさかここまでとは。
相澤先生が言う。ピンチを覆していくのがヒーローだと。
「全力で乗り越えてこい」
ここが、雄英高校ヒーロー科。鳥肌が立った。
最下位を免れる、なんて甘い考えはしていない。もっと上を目指すんだ。
結局、私は爆豪くんの下につけた。しかし、ボール投げで腕がすごいことになっている緑の頭のもじゃもじゃくんが最下位になってしまっていた。彼は、絶望的な顔をして、
「ちなみに除籍は嘘な」
相澤先生の言葉にみんなの顔がぽかんとする。
「最大限を引き出すための合理的虚偽だ」
相澤先生がにたりと笑う。
本日二度目の叫び声が、グラウンドに響き渡った。
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作者名：阿弥 x他1人 | 作成日時：2021年9月4日 18時
