バイト先の教育係【ころん】

Ｓｔｅｐ29 ページ31

『……は？』

「俺がキッチリ指導するから、覚悟しろよ？センパイ」

『え？』

「僕たちが店長の代わりに指導するの。指導分の給料が出るらしいからさ」

『え？』

「そういうわけだからさ、さっそく練習始めよーぜ」

「さとみさんの言う通り！早く始めよ！」

『……ちょっとまってて。回想させて』

「りょーかい」

「はぁ？さっさとしろよー」



落ち着け、私。焦ったら思考が乱れるだけだ。落ち着いてゆっくりとさっきまでの出来事を思い出した。




･｡･｡･･｡･｡･32分前･｡･｡･





『じゃっ、じゃあ私がこのあと行われる試験に合格したら、レジを担当してもいいんですか！？』

「はっはっ！ああ、いいとも。私が満足できて合格したらね」

『ぅあ……ありがとうございます！！ちょー頑張ります！』

「うむ。ただ、試験の前に助っ人を呼ぶから、その人に一度指導を受けてくれ。君はまだまだ初心者だからね」

『えー……じゃない、わかりました！』

「じゃあ助っ人を呼んでくるから、ちょっと待っててくれ。いろいろ指導してくれるから、しっかり聞くんだよ」

『はいっ！』



そうだ。私は店長がレジ担当ができるチャンスを与えてくれて、私はそれに飛び付いた。



『助っ人って誰だろ…？口うるさくない人だといいな〜。あと、口悪くない人がいい！それで……』



助っ人の理想を次々挙げていたら、足音が聞こえて、振り向いたら____




･｡･｡･･｡･｡･





『……回想終わった』

「なげぇんだよ。早くやるぞぉー」

「センパイを指導するなんて、なんか緊張するなぁ」

『なんでだよ』



そうだ。私、二人を見たときめっちゃ愕然としたんだ。だって、理想と間逆の人物だったんだもん。



『あ、あの……』



やる気満々でレジに向かう二人の袖を引いて、呼び止めた。



「あ？」

「ん、どうした？」



『あ、あの……やさしくしてね？』



「…あぁ。もちろんだよ」

「んぇ、んうぅ？うんわかった」

『…え、なんか変なこと言った！？』

「いやー、さっきの言い方ちょっとやらしかった…」

『おい先輩！？』



やっぱりしっかりと変態だな。どう聞いたらいやらしく聞こえるんだよ！！



「ちょwwころんハッキリ言い過ぎww……くっくっくっ…ww」

『おいさとみ？そこはスルーして？』

「ぁはっ……wwあはぁーははははっ！ww……」



いや笑い方独特すぎるんだよ！いやでもちょっと面白い……



「あーいもうやめ！早く始めるぞー！時間限られてるからね！」

『そうですね、始めましょうか！』

Ｓｔｅｐ30→←Ｓｔｅｐ28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す