30.勝者と敗者 ページ32
そう応える私にオールマイトは中止せず、そのまま続行してくれた。
それにどうやら出久には作戦があるみたいだしね。
《麗日さん行くぞ！！》
「！」
《はい！》
それを合図に、お茶子ちゃんはひとつの柱にしがみ付く。
そして、出久と勝己のお互いの拳がぶつかり合う。
《DETROIT…SMASH！！》
確かに聞こえた出久の声と爆発音。
それと同時に真上の天井に大きな風穴が生まれた。
瓦礫が崩れ、風で上へ吹き飛ぶ。
なるほど。
出久はこれを狙ってたんだ。
今の出久だけでは勝己にタイマンでは到底かなわない。けれど、これはタイマンではなく訓練。しかも協力プレーだ。
「最初から出久の目的は核の回収だったんだね」
《そういう…ハナっからてめェ…やっぱ舐めてんじゃねえか…！》
《使わないつもりだったんだ…使えないから…。体が衝撃に耐えられないから…》
「！」
何あの怪我…！？
把握テストの時よりもっと、ずっと酷い…。まだ使いこなせてないから、器が出来てないからこんな…。
モニターに映る出久は勝己の攻撃を受け止めた怪我だけでなく、個性を使った右腕は色が紫色に変色し、だらりと下がっていた。
《これしか…思いつかなかった…》
《回収！》
《ああーー！核ーー！！》
「ヒーロー…ヒーローチーム…ＷＩＩＩN！！」
その言葉と共に出久はばたりとその場に倒れた。
勝己は目を丸めてただ茫然と立ち尽くしている。
私は今すぐに二人の元へ行きたくなった。
「あ、藤丸！？」
「立香さん！」
私は走った。
二人の元へ。
崩れた階段を駆け上がり、二人に駆け寄る。
そこにはいつの間にか搬送用ロボがおり、出久を保健室へ連れて行くとこだった。
怪我は酷いけど、リカバリーガールに任せれば大丈夫かな。後は勝己だけ。
「勝己！…勝己？」
「ハア…ハア…ッ」
見ると勝己は目を丸くしており、息が荒く過呼吸仕掛けていた。
何故そうなっているのかわかった私は、勝己の両頬を両手で包んだ。そして目がやっと合う。
「勝己」
「ぁ…り、つか…俺…は…っ」
「大丈夫だからゆっくり深呼吸して、ゆっくり」
それに大人しく従い、目を閉じて勝己は深呼吸を繰り返す。
そしてようやく落ち着きを取り戻したらしい。
「落ち着いた？」
「…ああ」
「爆豪少年、藤丸少女。講評の時間だ。地下に戻ろうか」
返事を返し、私達は地下のモニタールームへ戻った。
戻る間、勝己は一言も話さなかったが、私と繋いだ手は決して離さなかった。
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セブ推し(プロフ) - サヒアさん» ありがとうございました！ (2018年6月11日 16時) (
レス) id: f4753b0a53 (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - セブ推しさん» 藤丸(ふじまる)、立香(りつか)って読みます。説明なくてごめんなさいm(_ _)m (2018年6月10日 23時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - 珈琲さん» 本当ですね、アホですね私。教えて下さりありがとうございます！最高…！？う、嬉しいです！頑張ります！！ (2018年6月10日 23時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - 撫菜兎さん» 完結出来るよう頑張ります！！ (2018年6月10日 23時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
セブ推し(プロフ) - すみません，質問なんですが主人公の名前はなんと読むのですか？教えて下さい((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘ (2018年6月10日 17時) (レス) id: f4753b0a53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サヒア | 作成日時：2018年2月16日 23時
