24.両親と轟君の話 ページ26
個性婚…。
個性婚とは、個性を持つ者同士を結婚させ、子に強い個性を受け継がせるもの。
より強い個性を継がせるためだけに優れた配偶者を選ぶ。言わば政略結婚に近い。
…つまり、話の感じからすると轟君は個性婚で産まれた子？
同じ複合個性を持つ私を見て、私も同じなのではと思ったのかな。
「ううん、個性婚じゃないよ」
「…そうか、悪い」
「謝らないで。…私の両親は今海外にいるの」
そうぽつりと話し始めた私。
彼には何故か知って欲しいと思った。
「二人共ヒーローなんだけど、ある日敵との戦いでお母さんが昏睡状態になっちゃったの」
「！」
「全く目を覚まさなくて、お父さんは海外で治療法を探す事にして、私が小学生の時に家を出て行った。それから連絡は一度もない。…本当、親って勝手だよね。子の気持ちも知れって感じ」
わははと笑うが、轟君の顔は真剣だった。
あれからしばらくお母さんの病院に行ってない。久しぶりに行って見たいと思っているが、決意が中々固まらない。
「…俺は個性婚で産まれた」
「……」
そう言いながら、轟君は自分の生について話してくれた。
No.2ヒーロー、エンデヴァーの息子である事。
母は父におかしくされてしまった事。
父が憎い事。
「この火傷は母がつけたものだ。でも、俺は母のした事を恨んでいない。俺は、あんな風に母を変えたあいつが憎い…」
「うん…」
「だから、母の個性だけであいつを見返す。あいつの個性は使わない」
ぎゅっと右手で左腕を掴んだ。
話し終わった後、私に目を合わせ、初めて笑ったような気がした。
「ここまで話すつもりじゃなかったんだが…。何でだろうな。藤丸、お前に…何か聞いて貰ってよかった。…ありがとな」
礼を言われるような事は何もしていない。
ただ話をして、聞いていただけ。
そう、私は…何もしていない。
＊＊＊
轟side
藤丸に話し終わった途端、気が少し和らいだ気がした。
何故か、彼女には話を聞いて欲しいと思った。
「……」
「…藤丸？」
「え？あ、何？」
「…いや」
今一瞬、藤丸が何処か遠くを見ているような気がした。
ここではない、遠い何処か。
ここに繋ぎ止めないといけない。
「…ってもうこんな時間！帰ろ、轟君」
「ああ」
もう、もとの笑顔に戻っていた。
俺はその日から藤丸立香と言う人間について、もっと知りたくなった。
藤丸にこんな顔をさせている何かに、その時無性に腹が立った。
お前について、もっと知りたい
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セブ推し(プロフ) - サヒアさん» ありがとうございました！ (2018年6月11日 16時) (
レス) id: f4753b0a53 (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - セブ推しさん» 藤丸(ふじまる)、立香(りつか)って読みます。説明なくてごめんなさいm(_ _)m (2018年6月10日 23時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - 珈琲さん» 本当ですね、アホですね私。教えて下さりありがとうございます！最高…！？う、嬉しいです！頑張ります！！ (2018年6月10日 23時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - 撫菜兎さん» 完結出来るよう頑張ります！！ (2018年6月10日 23時) (レス) id: c08842489f (このIDを非表示/違反報告)
セブ推し(プロフ) - すみません，質問なんですが主人公の名前はなんと読むのですか？教えて下さい((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘ (2018年6月10日 17時) (レス) id: f4753b0a53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サヒア | 作成日時：2018年2月16日 23時
